研究実績の概要 |
本研究の目的は子宮内膜症で受療中の成人女性の思春期以降の子宮内膜症の兆候・症状と対処の経過・過程を明らかにし、青年期女性の子宮内膜症のリスク因子の発見と受診行動を促進するために有用な情報を得ることにある。研究1年目は第一段階にあたり、文献検討を行い、インタビューガイド作成に向けた準備を行った。文献検討は、次のように行った。PubMed, CINAHL with full text, 医中誌Web, 最新看護索引を検索エンジンとし, ‘endometriosis’ and ‘nursing’ 「子宮内膜症」&「看護」のキーワードで2020-2010年の10年間を検索,計214件抽出された。重複を除き,英語で書かれた研究論文に絞った。さらにアブストラクトや本文を読んで医学系論文の基礎研究・診断・治療に関する論文,及び結果の記述に子宮内膜症との関連が不明な論文は除き,生活,思春期・青年期,後年への影響,看護ケアの視点を残し,30文献を検討対象とした。30文献は,量的研究21件,質的研究7件,統合的文献レビュー等2件であった。Donabedian(1969)の質評価モデル(横軸に対象・状況(Inputs), 介入(Processes), 結果(Outcomes), 縦軸に対象(Client), ケア提供者(Provider), 場・状況(Setting))に基づいて研究結果を分類・整理した。発症リスク要因,月経困難症や痛みなどの症状,日常生活や情緒面への影響など子宮内膜症をめぐる研究成果を経年的,縦断的な視点で把握できた。また,医療者の診断/アセスメント・治療/ケアの過程は,女性のそれらに対する支援ニードや受ける経験の過程と表裏一体であり,双方の状況を踏まえ,医療者と女性,どちらにも対策や支援が必要であることが示唆された。
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