研究課題/領域番号 |
20K10904
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研究機関 | 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛 |
研究代表者 |
野村 佳代 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, その他, 教授 (90335589)
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研究分担者 |
本宮 めぐみ 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, その他, 助教 (30848461)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 自死遺族 / グリーフケア / 子どもへの説明 |
研究実績の概要 |
研究テーマに基づき、本来の対象に対しては所属施設の倫理委員会の承認を得ることができず、本来の対象者をよく知る支援者と対象として調査を実施した。以下のことが支援者からの語りで明らかとなっている。 親が自死の場合は、誤解や偏見から周囲の理解が得られにくく、「親の死」に対する感情を表出することが難しいが、支援者や同じ立場の遺族たちと感情を表出できる場があることで、日常生活では表出できない思いを表出することができるため、安心して過ごせる場となっていた。また、自死によって抱えた問題への対処法について情報収集していた。 子どもは、日常生活では子どもは感情を封印して過ごしているが、支援プログラムにおいて子どもは「親の死」に対する感情を表出できている。支援プログラムでは親と子どもは別々に過ごし、子どもの思いが親に漏れることがないため「親の死」に対する感情を表出している。 多くの親が、「親の死」について子どもに説明するべきか、どのように説明するべきかついて、悩んでいた。しかし、実際に子どもに対して説明した際には、子どもは親が説明するより前から知っていることが多かった。むしろ親が子どもに対して説明しないことで、「親の死」について親に感情表出することができずに悩んでいることが多く、説明したことで、親と思いを共有でき、遺された親子で新たな家族関係を築くことが出来ていた。「親の死」は子どもに大きな影響をもたらすが、残された親自身も「親の死」の影響を大きく受けて日常生活において必死に闘っている。不登校など子どもの社会参加に実際に影響し、今後の子どもの人格形成のためにも親に対する支援は非常に重要であることが改めて示された。 本研究の目的は、自死家族の新たな家族関係を形成するための支援策を開発することであるが、現時点では支援者の語りによるものとなっているため、今後も継続して調査を進める予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
倫理委員会の承認がなかなか得られなかったことと、コロナ禍で対象者に対する調査が難しいことで、情報収集がなかなか進まなかった。
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今後の研究の推進方策 |
今後支援者に対する分析を進めることで、今年度中には支援者による支援方法やその効果について明らかにしていく予定である。 親の特徴や子どもへの説明については、研究機関の延長を申請する予定である。 また、遺族に対する調査は次なる研究として申請する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の研究計画では「支援者」から情報収集・分析したうえで、「自死家族」に調査を行う予定であったが、①倫理委員会の承認が遅れたこと、②倫理委員会から「自死家族」に対する調査の承認が下りなかったことから、調査対象者が減ったことで、研究旅費・テープ起こしなどの費用の計上が難しいことがあげられる。 また、コロナ禍で「支援者」に対する情報収集も進んでいないことから、研究機関の延長によって、研究を遂行する予定である。
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