研究課題/領域番号 |
20K10920
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
戈木クレイグヒル 滋子 慶應義塾大学, 看護医療学部(信濃町), 教授 (10161845)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 小児集中治療室 / 情報共有 / 情報提供 / 医療面談 / end-of-lifeケア / ターミナルケア / 家族支援 / グラウンデッド・セオリー・アプローチ |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、小児集中治療室(以下PICU)で終末期と判断された子どもの両親に対して、どのような情報提供とend-of-lifeケアが行われているのか、医療者と両親の間でどのようなやり取りが行われているのか、それは、両親にどのような影響を及ぼすのかを、情報提供とケアの場での観察、並びに医療者と両親へのインタビューを通して明らかにすることである。1年目の本年度は、研究協力の承認を得られていた2施設のPICUで、医療者が両親へ情報提供する場面とケアの場の観察と、それを基にした両親および医療者のインタビューを行う予定であった。しかし、新型コロナウィルス感染症の影響により、データ収集の実施が制限されてしまった。 協力2施設のうち1施設は関西にあるため、行き来すること自体が困難で、データ収集を実施することができなくなった。関西でのフィールドワークに係る経費が大きな支出になると考えて計画を立てていたために、今年度予算の多くは次年度に繰り越さざるをえなくなってしまった。 一方、首都圏にある1施設については、第一次緊急事態宣言の解除後に、施設の協力者と数回の打ち合わせを重ねながら、病院外で両親にインタビューをおこなうという方法でのデータ収集を試みた。感染症患者が入院している時期は入院患者自体が制限され、それ以外の時期においても家族の面会が制限されていたため、家族への研究協力依頼は難しかったが、2事例のデータが収集できた。 しかし、その後、再び新型コロナウィルス感染が拡大し、データ収集がさらに困難な状況となってしまった。データ収集再開の目途が立たないため、医療者のインタビューを行い、どのような情報提供/共有と、end-of-lifeケアを行っている(と医療者が思っている)のかについてのデータ収集を開始した。状況が落ち着き次第、もともとの計画に沿ったデータ収集も再開する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究では、子どもの状態が悪くなってから亡くなるまでの、医療者と両親のやり取りを観察法とインタビュー法を用いて把握するという計画を立てていた。しかし、新型コロナウィルス感染症の影響により、部外者の院内への立ち入りが不可能となり、さらに感染患者が入院している時期には入院患者数が制限されたために、研究対象として適切な両親の数も少なくなってしまった。さらに、両親の子どもへの面会時間も制限されたために、両親に会って研究協力を依頼する機会がなくなり、データ収集が思うように進まなかった。施設の研究協力者と何度も会議を持ったが、対応策が見いだせず、もともとの計画に沿ったデータ収集が再開できるまでは、医療者へのインタビューによって、ターミナル期にある子どもと家族への関わり方と情報共有について検討することとした。
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今後の研究の推進方策 |
先に書いたように、もともとの計画に沿ったデータ収集が再開できるまでは、医療者へのインタビューから、ターミナル期にある子どもと家族への関わり方と情報共有についての話を聞き、医療者側から見た考えや行動を把握したい。新型コロウイルス感染症が落ち着いたらすぐに、現在行っている医療者のインタビューと並行して、もとの計画に沿った観察とインタビューを2施設で再開する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
ここまでにも述べたように、新型コロナウィルス感染症の影響により、データ収集の実施が制限されてしまったために次年度使用額が生じてしまった。とくに、本研究のデータ収集を行う協力施設の1つが関西にあり、関西でのフィールドワークに係る経費が大きな支出になると考えて立てた予算であったために、行き来すること自体が困難な状況下で、予算の多くを次年度に繰り越さざるをえなくなってしまった。 状況が落ち着き次第、関西でのデータ収集を再開し、首都圏でのデータ収集と並行して集中して行う予定である。
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