研究課題/領域番号 |
20K10924
|
研究機関 | 新潟青陵大学 |
研究代表者 |
桐原 更織 新潟青陵大学, 看護学部, 助教 (10553323)
|
研究分担者 |
正木 光裕 高崎健康福祉大学, 保健医療学部, 准教授 (20780662)
倉石 佳織 清泉女学院大学, 看護学部, 助手 (50865409)
有森 直子 新潟大学, 医歯学系, 教授 (90218975)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | CHARGE症候群 / 看護 / 難病・希少疾患 / データベース構築 / 評価 |
研究実績の概要 |
本研究目的は、希少性、先天性の重複障害、聴覚・視覚・バランス感覚・嗅覚等複数の感覚障害の存在が特徴であるCHARGE症候群(CS)児への看護実践の一連を支援する機能を有するケアデータベースを構築し、その有効性について明らかにすることである。 2020年度は、【Step1.CS児の生活とケアの特徴の明確化】として、(1)CS児を養育する親を対象としたインタビュー調査、(2)国内外の文献調査、海外のCS専門書からの情報収集に着手した。 (1)に関しては、インタビューを7名行い、CS児の各ライフステージの生活の様子や親の対応、必要な支援等について分析を進めている。分析途中であるため、語りの一部を示す:①出生前;障害発覚に伴う親の精神的支援と、出生直後から適切な対応につなげる体制が必要、②乳児期;重複障害を親が知る時期であり、特に盲聾の可能性の指摘後の親の精神的支援が必要、③幼児前期;循環・呼吸器障害に伴う生命リスクの高さから、命を守るための世話で必死な時期であり、見通しの立たなさや親子の孤立のしやすさを踏まえた支援が必要、④幼児後期;盲聾児の教育やコミュニケーションに関する支援につなげる重要性、⑤学童期;社会や友人とのつながり拡大や、自立に向けた支援が必要、⑥高校卒業以降;児の居場所についての不安への対応が必要。CSの医療面だけでなく、CS児の実際の生活に関する親からの語りは非常に貴重であり、生活支援の専門家である看護者が活用できるデータベース構築につなげていく重要性について実感している。 また、(2)に関しては、研究者間で担当を決定した上で、調査中である。アメリカの専門書物「CHARGE SYNDROME」からは、CSの特徴と必要な支援に関する内容を抽出し、和訳を行っている段階である。2021年度には、まずは書物からの情報をデータベースのコンテンツとして整理する予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本年度は、【CS児の生活とケアの明確化】を行う計画であり、そのためにCS児の親を対象としたインタビュー調査を完了する予定であった。しかしながら、このインタビュー調査が非常に遅延している。その理由としては、Covid-19の感染拡大に伴い、感染拡大予防対策としての県外移動自粛等が発出されたことを受け、対面で計画していたインタビュー調査が2020年度はじめから実施不可能になったことが挙げられる。また、インタビュー参加予定者から、Covid-19により生活が大きく変化したために、インタビュー参加の辞退の申し出を受けることもあった。このような現状を受けて、本年度は、対面でのインタビューから、Web会議システムであるZOOMを利用したインタビューへと変更することで対応した。研究方法の変更に関して、研究倫理審査委員会に再度申請して承認を得た上で、研究参加予定者へZOOMを用いたインタビューへの変更に関する説明を行い、同意を得られた方を対象としてインタビューを再開している。 さらには、CS専門のセンターをもつアメリカ合衆国オハイオ州にあるシンシナティ小児病院でのCSに関する情報収集等も実施できない状況となっている。
|
今後の研究の推進方策 |
2021年度:【CS児の生活とケアの明確化】を果たすために、CS児の親を対象としたインタビュー調査は続行し、分析を進める(桐原)。また、CSに関する国内外の文献調査の結果について公表を行う(桐原、倉石)。アメリカで発刊されたCS専門書からの情報の整理を行い、データベースのコンテンツとしての整理を試みる(正木、倉石)。その上で、書物からの情報を整理したデータベースの試作を、2021年度末に着手する(有森)。 さらには、シンシナティ小児病院のCHARGEセンターへの視察は諦め、CHARGEセンター内で統括業務を担当している看護師にメールで連絡をして、電話による情報提供を依頼し、CS児と家族への支援に関する情報収集を行う(倉石、桐原)。 2022年度:【データベースの構築と運用】として、CS児の親を対象としたインタビュー調査結果も反映させたデータベースを構築し、その運用を始める(有森)。 2023年度(※1年間延長予定):【データベースの評価と改善】として、専門家や看護者からの評価を受け、データベースの改善を行う(研究者全員)。
|
次年度使用額が生じた理由 |
2020年度は、CHARGE症候群(CS)児に対する専門的支援に関する情報収集のため、CS専門機関であるシンシナティ小児病院(アメリカオハイオ州)のCHARGEセンター視察を計画していた。また、CS児の親を対象としたインタビューを対面で行う計画であったため、その旅費を計上していた。しかしながら、Covid-19感染蔓延により、視察や対面でのインタビュー調査を中止せざるを得ない状況となり、旅費分の予算が残った。 2021年度には、2020年度残額を加えた経費を、次の目的で使用する予定である:①シンシナティ小児病院の看護師からの電話もしくはZOOMを用いた情報収集時の通信費(5万)、謝礼(10万)、②アメリカの専門機関からの情報収集時の通訳雇用費(20万)、③テープ起こしの人件費(80万円)、④国内外のCSに関する文献費、CSに関する図書や遺伝医療・看護、希少・難病関連の図書費(20万)、⑤国内外のCSに関する情報収集に伴う専門職種への謝礼(10万)、⑥CSや遺伝疾患等に関する最新の情報収集のための研修会等への参加費(10万)、⑦学会参加費(10万)、⑧webサイト立ち上げと管理に関するSE雇用費(50万)、⑨研究補助者雇用費(10万)、⑩文具類(5万)、⑪2023年度への繰り越し(83万)。
|