研究課題/領域番号 |
20K10929
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研究機関 | 沖縄大学 |
研究代表者 |
新城 正紀 沖縄大学, 健康栄養学部, 教授 (50244314)
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研究分担者 |
井上 松代 沖縄県立看護大学, 保健看護学研究科, 准教授 (30326508)
赤嶺 伊都子 沖縄県立看護大学, 保健看護学研究科, 准教授 (60316221)
田中 英夫 滋賀医科大学, 医学部, 客員教授 (60470168)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 早期被害者発見尺度 / IPV / 基準関連妥当性 / 有効性 / 尺度開発 / 支援 / 連携 / DV |
研究実績の概要 |
研究の目的は、DS-IPVの基準関連妥当性およびカットオフ値の検討を行い、IPV被害女性早期発見尺度として簡便で汎用的に利用できることを検証をすることである。 DS-IPVの基準関連妥当性の検討は、A母子医療センターにおいて同じ対象者に同時に実施したVAWSとの並存妥当性により確認するためにDS-IPV合計得点(最小値22 最大値88)とVAWS合計得点およびVAWS判定(1:陽性、0:陰性)との相関分析により行った。相関関係が高ければ、DS-IPVの併存的妥当性は高いとした。 VAWS判定(1:陽性、0:陰性)とDS-IPV(22項目)の平均値および合計得点の分布(正規曲線)、DS-IPVの各因子(4因子)の分布(正規曲線)による分析を行った。DS-IPV平均値とVAWS合計得点およびVAWS判定(1:陽性、0:陰性)との相関は、0.66、0.56であった。 DS-IPVのカットオフ値は、ROC解析により求めた。DS-IPVのカットオフ値を23、24、25、26、27、28、29、30とし、各カットオフ値以上をIPV被害可能性有、未満を可能性無として、感度および特異度を求め、ROC曲線を作成した。DS-IPVのカットオフ値(暫定値)は、DS-IPV合計得点28が妥当であるとした。 DS-IPVの基準関連妥当性が確認できたことから、DS-IPVは、IPV被害女性を早期に発見するスクリーニング尺度として有用であると考えられる。また、ROC解析によりDS-IPVのカットオフ値(暫定値)は、DS-IPV合計得点28としたが、DS-IPVの活用(被害者への調査など)により確認が必要であると考える。今後は、今回の分析結果をもとに、行政機関や医療機関などにおいてDS-IPVを活用した取り組みを進めてもらうように働きかける。また、DS-IPV利用マニュアルの作成など、研究の推進を図る。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
DS-IPVの基準関連妥当性の確認およびカットオフ値(暫定値)の算出を行うことができたが、DS-IPVの利用マニュアルの作成および利用マニュアルを用いたスクリーニングの実施を行うことが出来なかった。 やや遅れた理由:カットオフ値の算出に時間を要した。また、新型コロナ感染症の流行により研究活動を行うための時間の確保が困難であったこと、研究協力機関および研究者間の情報交換が出来なかったことが主な要因である。
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今後の研究の推進方策 |
K市と協働して、DS-IPVを活用したIPV対策の取り組みを行い、DS-IPV被害女性早期発見尺度の有用性とカットオフ値(暫定値:合計得点28点)の確認を行う。そして、IPV被害女性に関するDS-IPV得点のデータ蓄積を継続して行い、尺度の精度向上の取り組みを行う。また、DS-IPVの利用マニュアルの作成およびDS-IPV利用マニュアルのを用いたDS-IPVの普及を図る。さらに、研究成果について国内外の学会等で公表する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナ感染症の流行により研究活動が進まなく、予算の執行が計画通りに行えなかったことから次年度使用額が生じた。今年度は、調査に協力いただいたA母子医療センターにおいて研究成果の報告会を開催する。また、K市においてDS-IPVを用いたIPV被害女性の発見・把握および対策の取り組みを行う。さらに、研究成果について、国内外の学会等で発表、情報の収集および交流を行う。これらの研究を推進するために、予算を活用する計画である。
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