研究課題/領域番号 |
20K10938
|
研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
生田 まちよ 熊本大学, 大学院生命科学研究部(保), 講師 (20433013)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | アディクション / 母親 / 医療的ケア児 / 抱え込み |
研究実績の概要 |
医療的ケア児等の重症障害児と母親の関係性の研究を進めていくにあたり、日本国内の看護領域におけるアディクションに関する論文の分類・整理を通して、研究の動向と課題を明らかにした。医学中央雑誌Webにて、2021年3月までに掲載された研究論文で、検索キーワードとして「アディクション」「依存」、絞り込み条件として、「看護文献」,「原著論文」,「会議録除く」で検索し、226件が抽出された。その中から解説・特集と総論、抄録、対象がアディクションと異なる論文など165件を削除し61件を分析対象とした。対象の論文をアディクション研究の現状を明確にするため「発表年」「研究対象」「対象のアディクションの種類」「研究内容」「使用尺度」において分類・整理した。研究の内容については、Klaus .KのBerelson.Bの内容分析の手法を参考に意味内容の類似性に基づき分類、命名しカテゴリー化した。 その結果、対象のアディクションは、アルコール依存関連24件、ニコチン依存関連4件、薬物依存10件、ギャンブル依存1件、インターネット・携帯電話依存関連11件、共依存2件、アディクション全般10件であった。研究内容は、依存症看護支援者の看護の実態とその思い15件、治療・看護の取り組みとその評価11件、依存者の回復過程と影響要因7件、職場・職業で異なるアディクションとその関連要因6件、看護・医療系学生への教育とその学び6件、依存症の家族への影響3件、依存症施設の運営と困難1件であった。 ネット社会を反映してネット依存などの研究が増加していた。医療的ケア児等の重症障害児と母親の関係性に関する研究はなく、今後、この解明も必要である。また、関係依存などの看護支援が求められる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
COVID-19感染症拡大の中であり、調査対象者の生活や心理状態も影響を受けていることが推察される。また、調査自体が調査対象者に心理的負担がかかり、結果にも影響が出てくるのではないかと考えたたた今年度は調査を実施できなかった。。 また、研究者もコロナ禍の対応で研究に十分時間をとることができなかった。
|
今後の研究の推進方策 |
次年度は、医療的ケア児と母親の関係依存の状況の解明を行うために、医療的ケア児の母への療育の状況と抱え込みの状況、母親の思いに関する調査を実施する。 調査対象は、「医療的ケア児を自宅で療育しておりレスパイトなどの社会資源を活用していない母親」と「医療的ケア児を自宅で療育しておりレスパイトなどの社会資源を活用している母親」に対して質問紙調査及び面接調査を行う。この対象者選択基準は、レスパイトなどの社会資源活用の有無:抱え込みの強い母親は、医療的ケアや児のケア自体を他者に委譲するのが困難な状態にあるため、抱え込みの目安と考えたためである。 調査内容は、①医療的ケア児の療育の状況と医療的ケア児の療育に関する思い、療育抱え込みの状況(第三者に医療的ケア児を預けることへの思い)、母親の医療的ケア児への思いに関する半構造化面接調査、②共依存セルフチェック項目の聞き取り(心理カウンセリングのスクリーニングで使用される共依存チェックリスト)調査である。 今後、面接調査の内容をより精錬して調査を進めてい行く予定である。その後、母親の療育の抱え込みからの解き放ちのためのプログラム作成を行う予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19禍であり、医療的ケア児等への感染リスクが考えられるため母親への面接調査を行うことができなかった。次年度は、可能であれば遠隔での面接も含めて実施する予定であり、交通費や謝金等に使用する。
|