研究課題
本研究が採択された2020年度は新型コロナの影響により小児死亡例の詳細調査予定の医療機関・自治体等母子保健担当部門ともその対応のため時間の確保が難しく情報収集ができなかった。また、鹿児島県は島嶼部でのクラスター発生の状況から移動訪問は厳しく制限がかかり研究計画が実施できない状況であった。 当初の研究計画での対象者を入手していた2014・2015年度の情報はカルテの保存期間を過ぎてしまうこと、並びに関係者の異動等もあり詳細情報の入手が難しかったため、新規に令和元・2年度(2019・2020年)の120症例データを再度入手した。小児科専門医3名で死亡小票のデータから死因分類・予防可能性・詳細調査の必要性を判定した。死因分類が3名一致したのは60人(50%)、2名一致49人(41%)であった。予防可能性があるは43人、無は44人、判定不能が23人であった。また詳細調査が必要な症例は24人で、必要ないものが29人、検討が必要なのが43人であった。今後、医療機関・自治体等母子保健担当部門からも情報収集を行っていく。一方、グリーフケア実態調査について新型コロナの影響で依頼が難しく遅れていたが、一次調査を県内小児科施設36(回収率52%)、産科施設19(50)から回答を得た。回答のあった小児科8(22%)、産科13(68%)で過去10年間に死亡例があり、グループケアは小児科3(8%)、産科10(53%)で実践されていた。岡山大学小児医科学教室のグリーフカードのような情報提供手段の任氏は約2割程度であった。比較的産科施設ではグリーフケアは実践されているが、小児科施設と共に認知・実践が不十分であることが明らかになった。死因究明と共に、グリーフケア体制の整備が重要であるため今後構築を行っていく。