研究課題/領域番号 |
20K10947
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
植竹 貴子 順天堂大学, 医療看護学部, 助教 (20438617)
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研究分担者 |
高橋 真理 文京学院大学, 看護学研究科, 特任教授 (20216758)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 育児 / 疲労 / 補完代替療法 / 認知行動療法 / 統合医療 |
研究実績の概要 |
本研究目的は疲労を有する育児期の高年女性に対する統合的アプローチのプログラムを開発し、その効果を検証することである。今年度は、以下の1,2を実施した。 1.パイロットスタディーの実施:昨年度の研究結果および先行研究を基に、疲労の基礎知識、認知行動療法、補完代替療法の3基本構造で構成した約40分間の動画教材2本の視聴と、アンケートによる個別相談、ホームワークから成るプログラムを設計・開発し、未就学児を育児中の母親8名を対象としパイロットスタディーを実施した。その結果、プログラムの満足度、理解度の評価は概ね良好であった。定性的データからは、肯定的な意見が聞かれた一方、改善点としては、音声の聞き取りにくさや、ホームワークの実施の負担感、子育てをしながら視聴することの難しさ、質問できる場が欲しいなどが抽出された。これらの結果を踏まえ、教材の内容や音声の修正、事前配布テキストの改良、動画を繰り返し視聴できるよう本研究専用ホームページを作成し、改良版Web 動画教材を作成した。 2.本調査の実施:改良版Web 動画教材を用い、本調査を実施した。介入群75名、対照群65名の2群比較による非盲検ランダム化比較試験とインタビュー調査にて効果を検証した。なお、介入効果は介入前、2週間後、 4週間後のアンケート調査、インタビュー調査にて、疲労(PAFS,F-VAS)、自覚症状(SMI)、育児の自己効力感(PSE)、ストレス指数、睡眠、育児期の認知を評価した。その結果、2群間の比較では、「PAFS_イライラ」、「SMI_イライラ」、育児期の認知下位項目において、介入前後の比較では、「SMI」、「PSE」、「睡眠」、「育児期の認知」において介入効果を示した(p <.05)。以上より、本プログラムはイライラの自覚症状及び育児期の認知の改善効果が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
今年度は介入プログラムの設計および、パイロットスタディーにてプログラム教材の実行可能性を評価し、教材を精錬化することが目標であり、予定通り実施することが出来た。本調査の実施および分析・評価は次年度の予定であったが、今年度着手することが出来た。よって当初の計画以上に進展していると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、本調査の結果から更に詳細な分析を行っていく。また、プログラム教材の課題を明らかにし、教材をより精錬した内容に修正していく予定である。得られた結果については広く社会に還元できるよう関連学会などで公表する。
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次年度使用額が生じた理由 |
学会開催がWebとなったため旅費を使用しなかった。また、本研究結果の詳細な分析およびプログラム修正のため、解析用パソコンやソフトの購入が必要であり、次年度使用予定である。
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