研究課題/領域番号 |
20K10957
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
谷口 好美 金沢大学, 保健学系, 准教授 (50280988)
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研究分担者 |
野上 睦美 金城大学, 看護学部, 講師 (20584353)
久世 淳子 日本福祉大学, 健康科学部, 教授 (50221221)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 共感疲労 / 高齢者ケア / 看護師 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、病院・高齢者ケア施設に勤務する看護師の共感疲労のプロセスを明らかにし,モデル化を行うことである。共感疲労とは,対人援助職がケアの対象者の過酷なストレス体験を二次的に受けることで起こる心身の消耗であり,専門職の離職の原因の一つであることが示唆されてきた。しかしながら,高齢者ケアに従事する看護師の共感疲労の研究は少なく,プロセスを解明することで心身の消耗の防止,ストレス・マネジメントに活用できる可能性があると考える。 2022年度は,高齢者ケアに特有な共感疲労の概念分析,文献検討を継続した。看護師側の他者に対する共感性」があること,定義としては患者が体験した病気・災害等の出来事を間接的に看護師が体験すること,看護師の主なストレス要因として<認知症患者の中核症状・BPSD症状>で,事故防止のために常に見守りが必要であること,医療依存度の高い高齢者の増加,2020年以降は新型コロナウィルス感染拡大を防止するための病院・施設での対策変更など,高齢者ケアでの共感疲労の要因として検討する必要があることを確認している。共感疲労の概念分析により,代償受傷(VT),二次的トラウマティック・ストレス(ST),患者の援助に携わることにより自然に起こる行動や感情,帰結としては看護師側の身体的・心理的な疲労の蓄積・消耗,長期にわたり無自覚に受けることで身体的・心理的に多様な徴候が生じること,看護のパフォーマンス低下,離職に至るプロセスも示唆されている。クリティカル・ケア,がん看護,精神看護の分野で行われることが多く,高齢者ケアに特化したものは少ないため,看護師の健康や離職の要因として今後の研究が必要であると考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究は病院・高齢者施設に研究協力を得る必要があり,施設との事前の交渉によりデータ収集を延期,やや遅れていると判断した。2022年度も感染防止対策で,高齢者施設は立入の規制があり困難な点があった。今後の規制緩和により計画を続行する予定である。また,ProQOL尺度日本語版(福森他,2018)の質問項目など,抽象度が高いため高齢者ケアに適用するために事前の検討が予定よりも必要となった。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの概念分析(文献検討)に基づき,2023年度は高齢者ケアに特有な看護師の共感疲労が起こるプロセスの解明を行う。中部地方の病院・施設に研究依頼を行い,看護の臨床経験が3年以上の看護師を対象に,インタビュー調査,郵送法による自記式質問紙調査を行う。事前に看護師の共感疲労の文献検討の結果に基づき,高齢者の看護で心身に負担を感じた出来事,経過を問う項目を作成する。作成した質問項目について,研究分担者2名 とメール会議で検討を複数回行ったうえで質問紙を完成させ,データ収集・分析を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)COVID-19感染拡大防止で学術集会がオンライン開催となり,旅費が不要となった。 (使用計画)2022年度分と合わせて病院・高齢者ケア施設での調査を実施するための費用にあてる予定である。
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