研究課題/領域番号 |
20K10961
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研究機関 | 埼玉県立大学 |
研究代表者 |
渋谷 えり子 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 准教授 (90197210)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 認知症高齢者 / 家族支援 / ハンドマッサージ / コミュニケーション |
研究実績の概要 |
本研究は、認知症患者の様々なBPSD(認知症周辺症状)により起こるコミュニケーションの問題を緩和し、患者・家族双方にとってよりよい効果をもたらし、コミュニケーションの維持・破錠予防につなげるために、介護家族が実施できる『ハンドケア』を開発することが目的である。2020年の研究計画は、ハンドケアを検討するためのスウェーデンで開発された高齢者や障がい者に実践しているハンドケア技術(ハプティックセラピー)について、家族への応用の可能性を探るため現地の高齢者施設の視察と技術研修会参加を計画したが COVID-I9の影響で中止となり、2022年度まで実施できていない。そこで2020年度には、新たな看護ケア技術として看護師・家族が行う「触れるケア」について学会で交流会を開催し、意見交換から認知症高齢者を在宅で介護する家族支援につなげるための、家族への応用についての知見を得た。また、文献研究で認知症でがんを患っている患者の家族の抱える問題について分析・検討し、家族の抱える問題として、意思決定に関する負担感のほか患者との関係維持などがあり、患者との関係維持にハンドケアが役立つ示唆を得た。2021年度は「触れるケア」について文献検討した結果、「触れる」「さする」「なでる」といった触れるケアを、認知症患者のケアに取り入れることによって、ケア拒否や暴力的行動などが改善し、良い相互作用が認められ、関係性構築に役立っており、家族でも実施できる「触れるケア」を盛り込んだハンドケア技術の開発につなげる示唆を得た。これら研究結果を基に、2022年度は、触れるケアとしてのハンドケアを看護学生を対象とした看護技術演習で実施し、コミュニケーションツールとしての活用について検討した。その結果、コミュニケーションツールとして活用できる示唆を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究は、スウェーデンで開発され、障がい者や高齢者に実践しているハンドケア技術の「ハプティックセラピー」を活用し、認知症高齢者を介護する家族支援につなげる研究である。第一ステップとして、2020年度にスウェーデンでの高齢者施設の視察とハンドケア技術の研修会に参加する計画であったが、COVID-19 感染拡大により海外視察・技術研修会参加ができなかった。 2021-2022年度もCOVID-19感染拡大の影響が収束せず、海外視察・研修会参加ができない状況であった。また、COVID-19の感染拡大の影響で、知見を得るための学会 参加においては、WEB開催で縮小されて開催されることが多く、対面での知見の情報収集の機会が減ってしまった。さらに、COVID-19の影響で感染予防の観点から、ハンドケアという特徴から効果検証のためのデータ収集ができない状況が続き、これらにより研究計画が大幅に遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は、ようやくCOVID-19感染の影響が収束し始め、海外視察も可能な状況になった。しかしながら現職が看護教育職であるため、まだCOVID-19感染のリスクを避ける行動が求めれており、海外視察は難しい状況にある。また、国内ではまだ「ハプティックセラピー」の研修会は、開催されておらず、開催再開の見込みは難しい状況にある。そこで、家族でもできるハンドケア技術として「触れるケア」について2022年度から検討を行っており、「触れるケア」としてのハンドケア技術の導入による効果を検証中である。このハンドケアを方法を活用して、2023年度は地域住民を対象とした公開講座を企画しており、その効果を検証する予定である。 なお、ハプティックセラピー研修会が再開されれば2023年度は参加し、さらに有効なハンドケア技術の検討を行うために、研究期間を2年延長して研究を進め、認知症患者を介護する家族支援のためのハンドケアを開発したいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
2022年度までCOVID-19感染拡大の影響で海外視察・技術研修会参加ができていない状況で、2023年度、海外視察が可能となれば参加予定である。 また、「触れるケア」を活用した「ハンドケア技術」の効果の検証のために、地域住民を対象とした講座開催のための費用とし、教材としての動画を作成すための費用とする計画である。
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