研究課題/領域番号 |
20K10984
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
矢野 理香 北海道大学, 保健科学研究院, 教授 (50250519)
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研究分担者 |
結城 美智子 北海道大学, 保健科学研究院, 教授 (20276661)
大槻 美佳 北海道大学, 保健科学研究院, 准教授 (10372880)
鷲見 尚己 北海道大学, 保健科学研究院, 准教授 (30372254)
小島 有沙 天使大学, 看護栄養学部, 講師 (40736443)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 清拭ケア / 高齢者 / 安全 / 気持ちよさ / 皮膚バリア機能 |
研究実績の概要 |
清拭は、対象者の清潔を保持し、温熱刺激等による気持ちよさをもたらす看護ケアである。清拭時間が同じであるならば、誰もが質の高いケアを求めることは当然のことである。しかし、皮膚が脆弱で、スキンテア発生リスクが高い高齢者において、タオル素材に関わらず、どのように清拭すると(清拭圧、回数、温タオル貼用など)、安全で、気持ちよさを提供できるか、清拭方法のエビデンスが十分とは言えず、清拭ケアプログラムは確立されていない。私たちは、気持ちよく、かつ皮膚バリア機能を保持する清拭ケアを目指して、これまで清拭方法に着目して基礎的研究を進めてきた。本研究ではこれまでの成果を基盤とし、追研究を行うとともに、高齢者における安全で、気持ちよさをもたらす清拭ケアプログラムを開発し、その効果を検証する。 2021年度は、高齢入院患者約50名を対象に 弱圧と通常圧による3回の清拭を行う単盲検ランダム化クロスオーバー 試験を実施した。皮膚バリア機能(経表皮水分蒸散量TEWL・角質水分量SCH)の 経時的変化と主観的評価を比較した。その結果、弱圧でも3回の拭き取りで十分に汚れを除去できるため皮膚を強く拭く必要性はないことを可視化した。 また、清拭前の 皮膚乾燥度を簡易的に測定するために、Overall dry skin score ODS 日本語版の信頼性および妥当性を検証し、ODS日本語版を開発した。さらに、これまで清拭における主観的効果は十分に可視化されていないことに着眼し、清潔ケアを提供する看護師の認識から清拭を含む清潔ケアの意味を記述し、構造化した。清拭の効果を生理学的視点から可視化することに加えて、心理・社会的効果を検証することにつながる研究を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
高齢入院患者への介入研究を実施することができ、今後清拭に関する検討をすべき対象集団を明らかにすることができ、今後の課題とすることができた。
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今後の研究の推進方策 |
清拭タオルによる清拭に加えて、ディスポーザブルタオルによる清拭方法の検討をすることが必要であると考えている。綿タオルによる清拭と同様に、皮膚への摩擦刺激に影響する「タオル素材と表面構造」「清拭圧」「拭き取り回数」に関して、ディスポーザブルタオル清拭についても清拭効果の差異を検討する。また、これまでの清拭に関する研究成果と文献レビューの結果をもとに、清拭プログラム効果を可視化し、パンフレットなどを作成し、ホームページで公表し、医療施設への普及活動を推進する。
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次年度使用額が生じた理由 |
英語論文1本のジャーナルへの掲載が未達であったため
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