研究実績の概要 |
ASDの子どもは,ASDのない子どもに比べて親が「育てにくさ」を感じ,高い育児ストレスを通じて抑うつ度が高まることが報告されている(Koegel et al, 1992; Breen et al, 1988).親のメンタルヘルスの不調は子どもの正常な発達を阻害し(Tronick, 1978),高い育児ストレスや育児不安は子どもへの虐待の大きな要因となる(Reder&lucy,1995).近年,ASDをはじめとする神経発達症児の育児ストレスを減らす要因として着目されている概念に,「親が子育て体験の変化にうまく適応していく能力」,すなわち養育レジリエンス(Baraitser & Noack,2007)がある.また,ASD児をもつ母親の肯定的コーピングが抑うつ症状を減少させ(Harrison &Sofronoff , 2002),ASD児を持つ母親が社会的支援を受けないことによって抑うつ度やストレスが増大すること(Boyd, 2002:文献研究)が報告されている. 海外においては,診断や治療にとどまらずASDの子どもを持つ親の育児ストレスを低減するために,認知行動療法(Cognitive behavioral Therapy : CBT)を用いた早期介入が盛んにおこなわれている(Mazidi, 2015; Whittingham,2008). そこで本研究は,行政の乳児健診後の保健師による親支援の位置づけとして,2歳以上7歳未満の ASD傾向の幼児をもち,その育てにくさから一定以上の育児ストレスを感じている親に対し,①親の育児ストレス,②メンタルヘルス(うつ,不安),③養育レジリエンスに着目してCBTを用いたオンライン保健指導プログラムを開発し,その効果を確認することを目的とする. 現在被験者募集中である。
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