研究課題/領域番号 |
20K10987
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
堤 雅恵 山口大学, 大学院医学系研究科, 教授 (80280212)
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研究分担者 |
野垣 宏 山口大学, 大学院医学系研究科, 教授 (10218290)
末永 弘美 山口大学, 大学院医学系研究科, 講師 (10372707)
永田 千鶴 山口大学, 大学院医学系研究科, 教授 (50299666)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 快刺激映像 / せん妄 / 睡眠・覚醒パターン / 自律神経活動 |
研究実績の概要 |
2022年度は,認知症対応型共同生活介護(グループホーム)において昭和時代を回想する映像を用いて行った調査の結果をまとめて学術誌に投稿し,掲載された(堤雅恵,末永弘美,永田千鶴,野垣宏,児玉悦子,礒村由美:懐かしい昭和時代の映像視聴による認知症高齢者および介護職員の心身反応.山口医学72(1),19-28,2023)。この研究の目的は,楽しく心地よいと感じる映像を用いて簡単に実施できる静的・受動的アクティビティケアの効果と実施可能性を検討することで,介護現場や在宅ケアでの活用のエビデンスを得ることである。 対象はグループホーム1施設に入所していた利用者12人および介護職員12人であり,20分に構成した昭和時代の生活の様子や遊びの映像の視聴を行い,前後の脈拍,血圧の測定値および疲労・ストレス測定システムを用いた自律神経活動バランスLF/HF(Low Frequency/High Frequency)を比較した。視聴中には研究者2名が利用者の表情と映像への興味・関心の程度を1分単位で観察・記録した。調査結果から,利用者,介護職員ともに,視聴の前後で脈拍,血圧,自律神経活動バランスLF/HFに有意差はみられなかったが,利用者全員が映像に20分間強い興味・関心を示し,途中退席することはなかった。本研究の結果から,個別の好みの映像を選択することを考慮した上で,映像を用いた静的・受動的アクティビティケアを介護現場や在宅ケアで活用する意義があると考えられる。この調査の他,また,入院患者を対象としてせん妄発症の有無に関連した前向き実態調査を行った。この調査は継続中であり,2023年度中に結果をまとめて報告する見通しである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
Bispectral Index System(BIS)モニタを用いた介入研究および自然環境映像のDVDを手術後に映写することで視覚への快刺激を提供した場合と提供しなかった場合におけるせん妄発症の実態については,いったんは調査を開始する準備ができたものの,ふたたび新型コロナウィルス感染症の拡大防止や協力者の配置転換等のため臨床現場での実施が困難になったため。
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今後の研究の推進方策 |
計画の詳細検討と対象施設との交渉を続ける。また,実験室で行う介入研究の実施も検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2022年度以前に実施する予定であった調査を2023年度に実施する調整が生じたため。
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