研究課題/領域番号 |
20K10987
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
堤 雅恵 山口大学, 大学院医学系研究科, 教授 (80280212)
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研究分担者 |
野垣 宏 山口大学, 大学院医学系研究科, 教授 (10218290)
末永 弘美 山口大学, 大学院医学系研究科, 講師 (10372707)
永田 千鶴 山口大学, 大学院医学系研究科, 教授 (50299666)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 快刺激映像 / せん妄 / 睡眠・覚醒パターン / 自律神経活動 |
研究実績の概要 |
2023年度は,快刺激による刺激がうつ傾向のある対象者にも好影響をもたらすかどうかについて検討するために,うつ病リスクの高い人と健康な人を対象に先行研究で用いた海の映像を視聴した場合の心身反応を調査した結果をまとめて学術誌に投稿し,掲載された(Hiromi Suenaga et al. Effects of Pleasant Stimulation with Sea Video Viewing on Heart Rate Variability and Frontal Lobe Brain Activity in Early Pregnancy: A Pilot Study Assessing Perinatal Depression Risk. J Womens Health Gyn 2024 11:1-11)。この調査の結果,うつ病リスクの高い妊婦と健康な妊婦の間でHRV指数に差はなかったが,先行研究では心地よい刺激であると認められた海の映像は,健康な妊婦にはリラックス効果をもたらしたが,うつ病リスクの高い妊婦にはネガティブな感情を刺激する効果があった。さらに,否定的感情は交感神経活動の活性化につながる可能性があった。一般にリラックス効果が評価される自然環境ビデオの視聴による情動反応やHRVの変化を評価することは,周産期うつ病の診断に役立つ可能性があることが明らかになったとともに,快刺激として映像を用いる場合には,うつ傾向の有無によってコンテンツを選択する必要があることが示唆された。2023年度には,この調査のほか,入院患者を対象としてせん妄発症の有無に関連した前向き実態調査を行った。この調査は現在投稿中であり,2024年度中に掲載される見通しである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
Bispectral Index System(BIS)モニタを用いた介入研究は,いったんは調査を開始する準備ができたものの,高齢者が入院する医療施設では感染症拡大への懸念が強く,臨床現場での実施が困難になったため。
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今後の研究の推進方策 |
対象施設における感染症拡大への懸念が強く介入研究の実施可能性が低い状況ではあるが,交渉を続ける。実施できない場合,2023年度に実施した2つの調査で有益な結果が得られ,またこれらの論文の投稿および掲載に科研費を有効に支出することができたことから,論文掲載までをこのプロジェクトにすることを考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
2023年度内に掲載予定であった2つの論文のうち1つの掲載が2024年度内となり,また,介入研究の交渉中であるため。
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