研究課題
本研究目的は、被災地での支援経験がある専門職と協働して、防災・減災に必要な想定外を想定する力を育てる災害教育プログラムの開発である。研究初年度はCovid-19蔓延のため調査が実施できず、調査日程が最終年にずれ込んだが、 最終年の2022年度は、前年度から引き続き三重県 北海道 福島県 長野県の甚大な被害となった地域を追加してインタビューを実施した。調査は、各地域で被災地支援を行った保健医療福祉の専門職が捉えた想定外と想定内に関するテーマを軸とするフォーカスグループインタビューである。インタビューを実施した専門職は約25名で、東日本大震災と福島県原発事故や紀伊半島大水害、北海道胆振地震、長野県千曲川の令和元年大水害等の複数の災害支援を経験していた。実施したインタビューは、全ての発言を逐語化した。その中から専門職が想定外であると捉えた共通項は、普段見慣れた風景や全く違う景色を視覚から捉えた時の【認識している風景と現実とのギャップ】、福島県の放射線による国内の未曾有の災害からは【入手できなかった情報】、心のケアの重要性と必要性が叫ばれている状況において【支援者のこころの傷を自覚できなかったこと】であった。語りから、地震や風水害など、さまざまな種類の災害が多発する状況で誰もが日常から災害を意識した生活をすることが必要である。想定外を経験した専門職の経験からは、災害はすべて想定外であり、その経験を次世代に語り継ぎ記録として残すことの重要性や教訓から得た学びや新たな思いなどを含めた想定外を想定する力を育てるプログラムに必要な要素を抽出した。更に参考資料として既存の災害や防災に関するプログラムを収集した後、本調査で得ることができた想定外を想定する力を育てる要素を含めた災害教育プログラムを立案した。
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