研究課題/領域番号 |
20K11005
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研究機関 | 名古屋学芸大学 |
研究代表者 |
白砂 恭子 名古屋学芸大学, 看護学部, 助教 (90851626)
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研究分担者 |
渕田 英津子 名古屋大学, 医学系研究科(保健), 准教授 (90315846)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 超高齢者 / 独居 / 都市部 / 健康 / 生活の継続 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、都市部に居住する独居超高齢者が健康に生活を継続できる要件を明確にすることである。昨年、都市部に居住し健康に独居生活を継続する満85歳以上の外来患者9名に半構造化面接調査を実施した。その後、面接内容の逐語録を作成した。分析は、逐語録を繰り返し読み、都市部の超高齢者が健康に独居生活を継続できる要件について語られている部分を抽出し、コードとした。コードの類似性・相違性からサブカテゴリ、<カテゴリ>、【要件】を作成した。 分析の結果、都市部に居住する独居超高齢者が健康に生活を継続できる要件として、<性差><性格><経済的安定>から構成される【独居生活の基盤となる要件】、<自己決定><行動を思索><目的をもった行動><健康への関心><社会への関心><基本的身体機能の維持><手段的日常生活活動の維持><虚無感がない>から構成される【超高齢者自身の要件】、<他者の存在><他者との身近な間柄><他者との交流><暮らしやすい居住環境><活用できるフォーマルなサービス><活用できるインフォーマルなサービス>から構成される【超高齢者を取り巻く環境要件】が明らかになった。今後、研究結果を「都市部に居住する独居超高齢者が健康に生活を継続できる要件の検討」として論文にまとめていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度、超高齢者を対象とした半構造化面接調査から、都市部に居住する独居超高齢者の生活継続要件を明らかにした。超高齢者は、著しい加齢変化や生活習慣病関連の疾患に罹患しやすいことから、独居生活を継続する上で健康を維持することが重要となる。調査結果から、超高齢者が疾病を持ちながらも独居生活を継続要件として、医療職の存在が明らかになった。そこで、入院治療を要する状態であっても、独居超高齢者が在宅の生活に復帰に向け、療養上の支援を担う地域包括ケア病棟を有する病院看護師、超高齢者や家族の状況、居住環境などを考慮し、必要な援助を調整・管理している看護師免許を保有する介護支援専門員(ケアマネージャー)、健康や安全面に重点をおいて支援している訪問看護師の支援に注目した。 超高齢者を支援する医療者として、看護職16名(病棟看護師5名、介護支援専門員6名、訪問看護師5名)に半構造化個別面接調査を実施した。現在、超高齢者の健康を維持しながら独居生活を継続できるように、看護職が実践している支援を明らかにするため、面接内容の逐語録を作成中である。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、昨年に実施した看護職に対する面接調査の逐語録を質的に分析し、看護職が実践している都市部の独居超高齢者が健康に生活を継続するための支援を明らかにする。また、これまでの研究結果をふまえ、都市部に居住する独居超高齢者に対する質問紙調査を予定している。 質問紙調査は、実施時期、対象者数、対象の選定・除外基準、選定方法、質問内容、分析方法等の詳細を検討する。研究計画書を作成後、所属大学の研究倫理審査委員会に提出する。研究倫理審査委員会の承認後、東海地方政令指定都市の地域包括支援センター100施設(名古屋市45、静岡市29、浜松市26施設)に依頼書を送付した後、地域包括支援センター経由で、超高齢者に調査(質問紙調査、郵送法)を実施する予定である。 質問紙調査から、超高齢者の生活実態や超高齢者支援の現状と課題を整理し、都市部に居住する独居超高齢者が健康に生活を継続できる要件の明確化を試みる。また、得られた結果を取りまとめ、関連学会において成果の発表を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
参加を予定していた学会が、新型コロナウィルス感染拡大により、リモートでの実施となり、旅費を使用しなかった。 今後、「看護職が実践している都市部の独居超高齢者が健康に生活を継続するための支援」の調査結果を学会で発表予定である。このため、学会参加費に使用する。また、量的な質問紙調査を実施するため、統計ソフトSPSSの研修に参加を予定している。
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