研究課題/領域番号 |
20K11007
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研究機関 | 関西福祉大学 |
研究代表者 |
今磯 純子 関西福祉大学, 看護学部, 教授 (00347428)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 社会機能 / 評価項目 / 地域特性 / 健康 / 高齢者 / グローバル |
研究実績の概要 |
地域特性(都市と過疎)をふまえ、真に効果的で持続可能な地域ケアのあり方をどのように考えたらよいのか検討することを視野におき、2020年度に主に取り組む研究目的は、要介護状態にない地域在住高齢者(元気高齢者やフレイル、要支援高齢者など)の健康に関連する特に社会的機能に着目した評価項目試案を検討し作成することであった。 本研究における社会的機能とは、地域社会の文脈において持続可能(sustaiable)で柔軟(resilience)なシステム構築には重要と言われているキーワードの一つとして社会的結束(social cohesion)と捉えることとした。そして、今年度の研究目的を達成するために、先ずは、保健・医療・福祉に関わる先行研究の文献を通して調べた。文献検索データベース(PubMed, MEDLINE, CINAHL)を用いた。キーワードは、社会的結束、高齢者の健康(elderly health)、精神的健康(mental health)、地域(community)とした。最終的に選定された文献25件より、健康との関連で記載されていた社会的側面の内容を抽出し、77項目に整理された。そして、各項目の日本語訳と逆翻訳の内容を通し、地域在住高齢者がその地域環境をどのように捉えているかといった観点での項目内容について精査し整理した。結果、37項目が挙げられ、高齢者の社会機能に着目した地域ケアの評価項目試案として検討し作成された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2020年度においては、高齢者の社会機能に着目した評価項目試案について検討し作成を試みた。地域在住高齢者の健康に関連し、身体的健康や精神的健康に関わる既存の評価尺度は数多くあるものの、研究で使用されている社会機能に着目した評価尺度は殆どない状況であった。そのため、当初予定していた地域在住高齢者を対象とし、精神的健康やQOLに関わる既存の尺度も取り入れて調査を実施する前に、先ずは、2020年度に文献を通して検討し作成された高齢者の社会機能に着目した評価項目試案について、海外だけでなく国内の都市や過疎地域における現場の保健・医療・福祉の関連職種者のコンセンサスを得るための調査の必要性があると考えている。しかし、実際の調査遂行までにはいたっていない状況である。そのため、「遅れている」と判断し、現在までの進捗状況として報告するにいたった。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度および2022年度は、海外における保健・医療・福祉の関連職種へインタビュー調査として海外渡航を予定し予算を計上していた。しかし、コロナ禍の現状にて実現は難しい可能性が高い。そのため、今年度の2021年度は、現在、文献検討にて試案の作成を試みた要介護状態にない地域在住高齢者の健康に関連する社会的機能に着目した評価項目試案について、先ずは国内の地域における保健・医療・福祉に関わる現場の専門職者のコンセンサスを得ることを優先することを検討している。並行して、2021年度は、実際の海外渡航が難しい可能性の高いことから、ICTを活用しての研究手法を検討し2022年度以降に備えられたらとも考えている。また、本研究のキーワードがグローバルという観点から、バーチャルでの国際学会発表や国際誌の投稿などを通して発信しながら、海外渡航を通しての調査の実現に備えていくことを考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度は、当初予定し計上していた地域在住高齢者を対象とする評価項目を検討する上で、QOLや精神的健康に関する既存の尺度を使用するために購入する前に、文献検討を通し高齢者の社会機能に着目した評価項目試案を検討し作成することを優先して取り組んだ。そのため、計上していた予算のうち未使用額が生じ、次年度使用額として当該助成金に反映するにいたった。2021年度は、2020年度に試案として作成された高齢者の社会機能に着目した評価項目内容を、先ずは国内の都市部や過疎地域において高齢者ケアに関与する保健・医療・福祉の専門職者への意見や確認を得るための調査遂行に関わる予算の使用を計画している。またコロナ禍の状況にて海外渡航は難しく、海外における本研究遂行の実現可能性は極めて低い。そのため、バーチャルでの国際発表エントリーや国際誌への投稿など、2022年度以降に向けての海外渡航を通しての取り組み準備として予算の使用に費やすことを計画している。
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