研究課題/領域番号 |
20K11008
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研究機関 | 岐阜保健大学 |
研究代表者 |
畑 吉節未 岐阜保健大学, 大学院 看護学研究科, 教授 (10530305)
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研究分担者 |
畑 正夫 兵庫県立大学, 地域創造機構, 教授 (40596045)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 災害看護理論 / 在宅災害看護 / 地域包括ケアシステム |
研究実績の概要 |
1.在宅災害看護理論の構築に向けて、これまでに被災経験を持つ看護者からの語りを収集し、分析を加えたマルチハザード下での在宅災害看護実践行動の語りをもとに、昨年度に引き続き看護理論の構築に向けた検討を進めた。まず、得られたハザードごとの看護実践行動の語りをもとに、行動を規底する環境の一つである災害サイクル間の差異をリスクに着目して、その共通性と個別性を可視化した。 2.次に看護理論の検討プロセスの妥当性を確保して理論構築を進めるために、まず平時の在宅看護実践行動をについて看護のメタバラダイムである「人間」、「環境」、「健康」、「看護」の四概念をもとに操作的な在宅看護に関する基本モデルを構成した。その上で基本モデルを用いて、災害時に特徴的な在宅看護実践行動を捉える枠組みの検討を進めた。 3.その上で、研究者らの在宅災害看護に関する既往研究をもとに、看護のメタパラダイムのブレークダウンを試み、在宅災害看護理論の構築のために概念化が必要と考えるキーワードの抽出に取り組んだ。また、それらの概念の相互関係を探究し、被災経験を持つ看護職の語りの文脈を踏まえ、災害時の看護実践行動の基本モデルに再構成し、理論言明に向けた検討を進めた。 4.同時並行で実施した新興感染症下の訪問看護ステーションの対応と課題に関する調査結果をもとに、健康危機状況下での訪問看護ステーションの看護実践行動と、療養者・家族が受けた影響についても同様に、分析を行い、災害時の看護実践行動の基本モデルへの反映を行うために概念抽出等を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまで収集した被災経験を持つ看護職から得た語りが、幅広い災害時の在宅看護実践行動を浮き彫りしていることから、基本モデルの構築や検討すべき概念の抽出等を円滑に行うことができた。 ただし、今後、研究を進め、理論構築のための詳細な分析を行っていくなかで、基本モデルをさらに補完する必要性が生じることが考えられる。その際には、新たな研究協力者から看護実践行動を収集し対応する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
1.在宅看護は多層で多彩な関係性のなかでケアが提供されている。在宅災害看護理論の構築においては平時の看護実践行動をとらえる基本モデルが重要な役割を果たす。そのため、在宅看護における既存理論の適用についての国内外の文献検討をもとに基本モデルのさらなる精選を行う。 2.在宅災害看護理論の構築に向けて、得られた理論言明をプールし、それらの相互関係をもとに理論言明の連結・秩序づけなどを図るとともに、分かりやすく構造化し、理論をもとに災害看護実践行動の説明、災害時の行動予測などへの適用可能性について、語りの収集に協力頂いたインタビューイーの参画のもと妥当性について検討を行う。 3.地域のなかで生活を継続する在宅療養者にとってコミュニティとの関係性は重要な環境の一つであることから、地域で進む防災・減災コミュニティの活動への参加観察によりその実際を分析をもとに、地域包括ケアシステムのもとで、災害サイクルに適用できる療養者の「生活の持続と再構築」に関する看護理論の構築を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍で2022年度の学会発表やデータ収集については、予定していた旅費の支出がなくWebで学会発表やデータ収集を行った。 2023年度においては、学会は現地発表が多く、データ収集も現地で可能であり、インタビュー等に出向く旅費を使用する予定である。
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