研究課題/領域番号 |
20K11027
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
金子 典代 名古屋市立大学, 大学院看護学研究科, 准教授 (50335585)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 性的少数者 / トランスジェンダー / 医療アクセス |
研究実績の概要 |
初年度は、当事者団体、キーパーソンへの聞き取り調査、文献調査、量的調査を実施した。
性的少数者の医療サービスアクセスに関して、ゲイバイセクシュアル男性におけるHIV検査や性感染症予防のアクセスと促進阻害要因に関する研究は比較的多く実施されている。しかし、トランスジェンダーをはじめとする性的少数者の医療アクセス、HIV予防サービス以外のサービスのアクセスに関しては日本では実態調査も非常に限られていることが明らかとなった。一方、特に米国や英国をはじめとする西欧諸国では、医療職者に対する性的少数者へのケア態度、基本知識の実態調査のみならず、医療系学部や現任教育として、性的少数者の医療サービス改善のための多くの研修が実施され評価も重ねられていることが明らかとなった。
そこで日本でもトランスジェンダー当事者を対象とした調査を実施し、これまでに受けたことのある治療は、精神療法が、ホルモン療法が、手術療法が続いて多かった。治療をやめた経験がある人は20%近くであり、その理由は、金銭的な問題、精神的な問題、医療者の対応も含まれた。 風邪、けが、体調不良時でも約半数が受診をためらった経験を有していることが示され、医療機関受診への心理的障壁は高いことが示された。ホルモン剤の処方やカウンセリングのみならず、様々な診療科での受診、医療機関の入院時、職場での健康診断などの場においても様々なストレスフルな体験を有していることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画通りに文献検討、当事者からの聞き取り、調査実施ができた。
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今後の研究の推進方策 |
次年度以降は初年度に実施した当事者からの聞き取りや収集したデータについて分析を進めるとともに、実際に医療機関で必要となる対応についても当事者のニーズ調査から具体案を考案する、また医療機関で実際にできうる対応について文献検討も含め検討を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナ感染症により出張が出来ず、打ち合わせや学会発表に旅費の使用が減ったことがあげられる。差額については、次年度の研究成果の公表に伴う経費として活用する。
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