研究課題/領域番号 |
20K11032
|
研究機関 | 聖路加国際大学 |
研究代表者 |
鶴若 麻理 聖路加国際大学, 大学院看護学研究科, 教授 (90386665)
|
研究分担者 |
長瀬 雅子 順天堂大学, 医療看護学部, 先任准教授 (90338765)
手島 恵 千葉大学, 大学院看護学研究科, 教授 (50197779)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | ヘルスケア倫理 / 高齢者ケア / 多職種 / 倫理的葛藤 |
研究実績の概要 |
本研究【ヘルスケア倫理の概念創出:高齢者ケアを担う多職種の倫理的葛藤の対立構造を超えて】の目的は、①高齢者医療・ケアを担う多職種(医師、看護師、ソーシャルワーカー、介護福祉士、理学療法士、作業療法士)が日常臨床で直面する倫理的葛藤の特徴(共通点と相違点)とその対立構造を、フォーカスグループインタビューおよび質問紙調査の2つの手法から明らかにし、②各職種間での倫理的葛藤の対立構造を超え、倫理的葛藤にアプローチする新しい「ヘルスケア倫理」の概念枠組みを創出することである。「医療」や「看護」に限定しない「ヘルスケア倫理」の創出は、保健医療福祉分野でのより普遍的な倫理的視点を提案することになる。本研究は多職種協働における倫理的葛藤の対立構造の分析に寄与し、かつ高齢者の望む生き方の実現や自律性を尊重した医療やケアの提供につながるという社会的意義がある。 当該年度は、高齢者医療・ケアを担う多職種(医師、看護師、ソーシャルワーカー、介護福祉士、理学療法士、作業療法士)が、日常臨床で直面する倫理的葛藤の特徴とその対立構造について、海外の文献調査を行った。特にさまざまな施設、たとえば病院、高齢者施設、通所施設、アシステットリビング、老人ホームなどの場においてその違いや共通点は何か、また職種毎に整理をした。高齢者への日常的なかかわりやケアが多いほど、ケアの方向性や高齢者の意向の尊重などにおいて、葛藤を抱いているようであった。また葛藤を解消するための方策は、カンファレンス実施や効果的なコミュニケーション等が挙げられていたが、職種間のパワーバランスもあり、必ずしも解決されていないことがわかった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナのため、インタビュー調査や質問紙調査の実施までに時間がかかってしまっている。また海外の学会での情報収集や高齢者施設でのヒアリングもコロナのため、できていない。
|
今後の研究の推進方策 |
状況がよくなってきたため、今年度後半よりインタビュー調査を開始し、それらの結果をふまえつつ質問紙調査案の作成に進む。
|
次年度使用額が生じた理由 |
コロナのため、医療者への直接のインタビュー調査や質問紙調査が進まなかった、また海外での学会に参加したり、海外の高齢者施設へのヒアリングが実施できなかったため、このような状況が生じた。これから状況がよくなってきたため、インタビュー調査を開始し、その結果をふまえて、質問紙調査を順次実施していく予定である。
|