研究課題/領域番号 |
20K11032
|
研究機関 | 聖路加国際大学 |
研究代表者 |
鶴若 麻理 聖路加国際大学, 大学院看護学研究科, 教授 (90386665)
|
研究分担者 |
長瀬 雅子 順天堂大学, 医療看護学部, 先任准教授 (90338765)
手島 恵 千葉大学, 大学院看護学研究科, 教授 (50197779)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | ヘルスケア倫理 / 多職種 / 高齢者ケア / 倫理的葛藤 |
研究実績の概要 |
最終年度は、昨年度高齢者医療・ケアを担う多職種(ソーシャルワーカー、介護福祉士、介護支援専門員、理学療法士、作業療法士)に引き続きインタビュー調査を実施した。今年度はさらにソーシャルワーカー11名、介護福祉士33名、介護支援専門員34名、理学療法士10名、作業療法士11名にインタビューを実施し分析した。高齢者への日常的なかかわりやケアが多いほど、ケアの方向性や高齢者の意向の尊重などにおいて、葛藤を抱いていた。「医療」の専門職(医師、看護師)との価値、医療や治療の優先と生活の質の向上という対立がよくみられた。 研究期間全体では、ソーシャルワーカー21名、介護福祉士48名(資格なしも含め)、介護支援専門員39名、理学療法士15名、作業療法士16名の139名の高齢者ケアで多職種が直面する倫理的課題と価値の対立についてインタビュー調査ができた。葛藤を解消するための方策は、カンファレンス実施や効果的なコミュニケーション等が挙げられていたが、職種間のパワーバランスも インタビュー内容は主として、各自が高齢者ケアで直面した高齢者へのよきことをめぐっての倫理的ジレンマ、多職種間の価値の対立、同職種での価値の対立、倫理的ジレンマを話し合う場があるか、管理者や組織的なバックアップの体制、である。ソーシャルワーカーは社会的視点からみた倫理、介護職、作業療法士は衣食住にまつわる生活上の倫理、理学療法士は身体機能面等、医学的側面で生じる倫理、とそれぞれの職種の役割や専門性によって、捉えている倫理的課題の違いがあり、それらが特に医療を専門とする職種との価値の対立につながっていた。また各職種の医療現場でのおかれている立場、ヒエラルキーが倫理的課題の話し合いの障壁になっていたことがわかった。
|