研究課題/領域番号 |
20K11033
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研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
中島 淑恵 東京慈恵会医科大学, 医学部, 准教授 (90459131)
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研究分担者 |
美馬 達哉 立命館大学, 先端総合学術研究科, 教授 (20324618)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 音楽併用リハビリ / 生活期リハビリ / 地域包括支援プログラム / 生活機能障害を抱える高齢者 / QOL |
研究実績の概要 |
本研究では,地域で暮らす個々人-健康高齢者,フレイル状態の虚弱高齢者,疾病をもつ要支援・介護の高齢者―が最大限の生活機能が発揮できる「特別ではないが個々のニーズ合致した生活の中で楽しみながら成果を実感できる」看護師主導の音楽プログラムを基盤とした生活期リハビリテーション(リハ)のセルフマネジメント支援を構築する.高齢者は脳卒中や筋骨格系疾患などの有症率の高い併存疾患に罹患することで,感覚運動連関障害をきたし,不使用学習を引き起こすことがある.身体・心理・社会的側面の個別アセスメントにより運動機能促通を客観的に測定して、プログラムを計画・実施・評価しながら,音楽の利用によって,厳しいトレーニングというイメージのある狭義の医学的リハよりも馴染みやすいプログラムを開発し,ユニバーサルに健康・虚弱高齢者等に応用を可能とする.高齢者の生活機能に応じて個別に処方された音楽を,生活機能訓練に併用し,継続的実施に基づく機能回復と精神性効果について明らかにする.そして,音楽を併用した生活期リハ-セルフマネジメントプログラムを構築し,生活機能の維持・向上をアウトカムとして,シームレスで継続的な医療-地域支援体系を構築する. 2020年度は,初年度は,感覚運動連関障害を有さない健康若年者と健康高齢者を対象に実験し,身体的に日常生活動作の負荷量が異なるかを明らかする.①巧緻テスト②姿勢保持・平衡感覚機能③歌唱,ピアノ演奏,音楽聴取を実施中の脳波(Electroencephalogram; EEG)による神経活動を計測し,精神的な影響(うつ尺度),筋力運動における自覚的疲労感,主観的運動強度,上半身姿勢動揺による加速度変化と筋電図(Electromyography; EMG)で評価する予定だった.しかし,COVID-19の流行により,対面での実験が行えなかったため実施できていない状況にある.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
初年度は,感覚運動連関障害を有さない健康若年者と健康高齢者を対象に実験し,身体的に日常生活動作の負荷量が異なるかを明らかする.①巧緻テスト②姿勢保持・平衡感覚機能③歌唱,ピアノ演奏,音楽聴取を実施中の脳波(Electroencephalogram; EEG)による神経活動を計測し,精神的な影響(うつ尺度),筋力運動における自覚的疲労感,主観的運動強度,上半身姿勢動揺による加速度変化と筋電図(Electromyography; EMG)で評価する予定だった.しかしながら,2020年度当初は不要不急の研究の遂行も禁止された.その後も,対面での研究には感染防止の観点から制約があったため,2020年度内には実験の計画が立てられなかった. 本来,2021年度は,脳卒中により軽度片麻痺を症候とした運動感覚機能や認知機能に障害がある高齢者を対象に,1年目と同様の評価指標に基づき,加齢性変化や感覚運動連関障害を有し日常生活動作や訓練をする際に知覚している,身体・精神的な困難感・負担感・疲労感を明らかにする予定だった.本研究のオリジナリティとしても1年目の基礎的な研究に基づくプログラム構成とプログラムの効果検証を掲げていたため,対面での音楽併用リハビリの効果をまず検証したうえで,プログラムの開発を進める必要がある.よって,COVID-19の流行が終息し,高齢者および疾病や障害を有する高齢の研究協力者のリクル―とが実現できる段階で,本計画を始動する必要がある.
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今後の研究の推進方策 |
感染症流行の終息に向け,実験開始後の感染防止対策を検討し,まず,7-8月以降に感覚運動連関障害を有さない健康若年者と健康高齢者を対象に実験を始める.研究協力者は新型コロナウィルスワクチン接種2回目が終了後2週間が経過したものに限定する.そのうえで,音楽併用リハビリプログラムが身体的に日常生活動作の負荷量が異なるかを明らかする. そのうえで,1月から3月に,脳卒中により軽度片麻痺を症候とした運動感覚機能や認知機能に障害がある高齢者を対象に,1年目と同様の評価指標に基づき,加齢性変化や感覚運動連関障害を有し日常生活動作や訓練をする際に知覚している,身体・精神的な困難感・負担感・疲労感を明らかにする計画である.このステップでの研究協力者は慢性疾患や身体機能・認知機能に障害を有する対象であるため,感染症防止対策を徹底し,流行状況を鑑みながら,高齢者福祉施設通所サービスを利用する方の中から,希望者を募り,実験を行う. 対象の特性に応じた2種類の研究により,累積したデータを基に,音楽プログラム介入群,年齢や生活能力を介入群と同等にしたコントロール群を対象に,日常生活動作訓練に替わる同強度のリハプログラムとして,音楽を併用した活動を提案し,効果を検証することとする.
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19 の流行により,感染症蔓延防止の観点から,研究協力者の安全を確保するために,実験が執り行うことができなかった.そのため,研究協力者やデータ分析アルバイトへの謝金の支払いがなかった.また,購入を予定していた筋電系などの介入評価機器を購入しなかった.加えて,共同研究者との会議も遠隔Webシステムを活用した為,旅費も使用しなかった.それらを2021年度予算として繰越し,研究を推進していく.元来購入予定だった2021年度予算は,研究の進捗に合わせ計画的に申請内容項目へ支出する.
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