研究課題/領域番号 |
20K11037
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研究機関 | 山陽学園大学 |
研究代表者 |
奥山 真由美 (小田真由美) 山陽学園大学, 看護学部, 教授 (30293294)
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研究分担者 |
目良 宣子 山陽学園大学, 看護学部, 教授 (20511596)
荒木 大治 山陽学園大学, 看護学部, 講師 (60587509)
田中 愛子 山陽学園大学, 看護学部, 助教 (40740650)
河田 恵子 山陽学園大学, 看護学部, 助教 (20867428)
井田 裕子 山陽学園大学, 看護学部, 助教 (70639129)
塩谷 由加江 山陽学園大学, 看護学部, 助教 (50829322)
村田 幸治 山陽学園大学, 看護学研究科, 教授 (60523561)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 高齢者 / 認知症 / フレイル / 老年症候群 / 性差 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、認知症とフレイルをはじめとした老年症候群との間にはどのような関連があるのか、また、それぞれの関連因子がどのように影響しあいながら健康の維持または要介護状態に至るのか、そして、そのプロセスには男女差(性差)はどのように影響するのかを明らかにすることである。 我々は、2017年より地域高齢者の健康測定を年2回ずつ行っている。2021年度は、新型コロナ感染症の感染拡大のため、実施することができなかった。そこで、2021年度は、感染拡大前の2019年と外出が制限された2021年3月の健康状態を比較し身体的な変化の有無を明らかにした。2019年3月と2021年3月の健康測定を行った27名を対象に踵骨骨密度、FRAX、膝伸展筋力、握力、5m歩行速度、30秒椅子立ち上がりテスト、Timed Up and Goテストの値に変化があるかを統計学的に分析した。その結果、男性は右手握力(p<0.05)、女性は右下肢筋力(p<0.05)が有意に低下していた。運動機能や骨密度に有意差はなかった(p>0.05)が、今後筋力の低下が進行し日常生活に影響を及ぼす可能性が考えられるため、筋力の向上・運動機能の維持を目的とした介入を検討する必要があることが示唆された。健康測定に参加している高齢者は認知機能の低下もほとんどみられなかった。そのため、次年度は、健康測定に来られなくなった対象者の健康状態を調査する予定である。そのうえで、認知機能の低下の有無による身体・精神・社会的機能の関係を、横断研究と縦断研究の両者のデータ収集と分析を継続的に行い、性差の影響についてさらなる検討を行っていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2017年度より縦断研究として行っている地域高齢者の健康測定は、当初80名を対象としていたが、年々参加者が減少している。そのため、2018年度より、新規の高齢者100名に対する健康測定を行う予定であったが、新型コロナ感染症の感染拡大に伴い、新規者を対象とした調査ができない状況が続いている。そのため、従来の対象者80名に対する継続的な健康測定を行ってきた。しかしながら、コロナ禍の影響で、従来の高齢者を対象とした健康測定も今年度はできなかった。予定していた横断研究についても、同様の理由で当初予定していた300名のデータ収集ができず、約100名の高齢者の健康測定ができたのみである。100名のデータ分析では、認知症と老年症候群の関連ならびに性差の影響について十分に分析を行うことができなかった。次年度は、可能な限り調査研究の実施の可能性を探り、データ収集を行う方向で検討している。新型コロナ感染症の拡大により、地域をフィールドとした縦断研究を行うことが非常に困難な状況となっている。今年度以降、新規者100名を対象とした縦断研究をスタートさせ、研究期間の延長も視野に入れ、全体の研究計画の見直しを行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
現在までに収集したデータの分析を進めてるところであるが、いくつかの課題がある。1つには、地域高齢者の健康測定の対象者は、認知機能が低下しているMCI(軽度認知障害)または認知症の者はほとんど存在しない。そのため、認知機能が正常な群と認知機能が低下している群での群間比較を行うことができないという問題がある。また、2017年より開始した健康測定ではあるが、80名で開始した調査は、縦断的な調査を行うことができている者が約半数(40名程度)にまで減少している現状がある。つまり、健康測定に定期的に参加できなくなった高齢者のなかに、フレイルや認知機能が低下している者が存在することが予測される。そのため、次年度は、健康測定に参加することができなくなった高齢者を対象に、健康測定への参加を呼びかけ、調査を行う予定である。また、次年度は、新規の対象者100名に対する縦断的調査を開始したい。コロナ禍ではあるが、感染予防に努め、調査の継続的な実施ができる方法を関係者間で検討しながら、調査を実施する。 また、2つめの課題は、認知機能が正常な高齢者の横断的な調査についてもコロナ禍であり、調査が進んでいない現状がある。次年度は、横断的調査の実施により、大きなサンプルサイズでの分析を行う必要がある。横断調査により、老年症候群と認知機能の関係性について、性差を含めた検討を行う。さらには、地域で生活する高齢者のうち、MCIの者を早期発見し、適切な予防医療につなげる方策についても検討していきたいと考えている。次年度より、地域の病院に定期受診をしている高齢者に対する健康測定の実施も行い、地域で暮らしている高齢者のMCIと老年症候群との関連、性差についても検討する方向で予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
血管年齢測定器の新たな購入については、研究協力機関である岡山市中区が購入してくださった。下肢筋力測定器については、研究に使用することができる器機であるかを精査したうえで、さらにデータ収集に有効な器械について検討し、購入をする予定である。今年度は、調査研究が十分にできなかったため、使用する機会にも恵まれず、そのため、次年度、調査を確実に行うことが決定した後に、購入を行う予定である。次年度は、調査研究に必要な消耗品やデータ入力(業者へ依頼)、学会発表のための旅費などに次年度使用する予定である。
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