研究課題/領域番号 |
20K11059
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研究機関 | 新潟医療福祉大学 |
研究代表者 |
児玉 直樹 新潟医療福祉大学, 医療技術学部, 教授 (50383146)
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研究分担者 |
浦上 克哉 鳥取大学, 医学部, 教授 (30213507)
中村 匡秀 神戸大学, システム情報学研究科, 准教授 (30324859)
小杉 尚子 東京医療保健大学, 医療保健学部, 准教授 (80589648)
佐藤 厚 新潟リハビリテーション大学(大学院), 医療学部, 講師 (80769745) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 認知症 / 電子ドローイング / 描画課題 / スクリーニング / 物忘れ |
研究実績の概要 |
本研究では、タブレットPCとスマートパッドを用い、手書きにて描かれた対象をデータ化して保存する電子ドローイングシステムを開発した。本システムにより、描画課題を完成図だけでなく、その過程と筆圧を電子データとして保存することで、遂行過程の詳細な評価を容易にするとともに、遂行課程を可視化することが可能となった。Wacom社製スマートパッド Bamboo Slateを使用し、データの電子保存用専用ソフトウェアを作成した。タブレットPCとスマートパッドはBluetoothにて無線接続した。描画は筆圧を測定できる専用ボールペンを使用し、普通紙上に描くことでより自然に取り組めるようにし、データは1/133秒単位でX-Y座標と筆圧が保存される。 本システムの有用性を検討するため、物忘れを主訴とした61名を対象に検証を行った。操作は比較的容易であり、多くの対象者は電子機器操作に対する違和感はなく、自然に取り組むことができていた。また、時計描画課題を可視化することにより、ストローク数、描画時間、平均筆圧などを検討することが可能となった。時計描画時間が長いとADASは1.6点高く、MMSEは1.1点低くなった。また、平均筆圧が弱いとADASは1.4点高く、MMSEは0.6点低くなった。さらに、時計の数字を順番に書くとADASは1.9点高く、MMSEは1.6点低くなった。 本システムにより、描画や書字課題の過程を再現可能な形で保管することができ、対象者の遂行機能、空間認知、書字能力などを詳細に検討できる。また、筆圧測定は運動機能の評価につながる可能性もある。ディスプレイ上のタブレットペン描画に比べ、本システムは高齢者にも抵抗感なく施行が可能であり、今後多数のデータを蓄積し、機械学習等を導入することで、神経心理学的検査の自動採点法の開発、認知症や軽度認知障害スクリーニングの可能性について検討したい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナウィルス感染拡大の影響により、医療機関や介護施設などで大規模に実験することはできなかったが、協力医療機関において脳機能データや図形描画データの蓄積をすることができた。また、電子ドローイングシステムやデータ電子保存用ソフトウェアの開発を終えることはできた。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度は、蓄積したデータを統計解析するほか、機械学習のためにデータを教師あり学習させて結果のモデル化を行う予定である。また、統計解析・機械学習により認知症および軽度認知障害に特有な描画遂行プロセスや脳活動パターンなどを抽出する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルス感染拡大の影響により、研究打ち合わせを十分に行うことができなかったこと、また研究成果を公表するための学会が開催中止もしくは開催延期となってしまったため、次年度使用額が生じてしまった。
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