研究課題/領域番号 |
20K11060
|
研究機関 | 佐久大学 |
研究代表者 |
坂江 千寿子 佐久大学, 看護学部, 教授 (40325915)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 足育 / 小学校 / 児童 / フットプリント / 上履き / 治療的インソール / 外反扁平足 |
研究実績の概要 |
以下のように、2020年度に予定した3チームでの活動はほぼ進められた。 1.2020年8月にS小学校1年生から6年生まで、身体計測日に合わせて、計299人の足の健診を実施した。その後フットプリント判読結果を合わせて個別にフィードバックした。また、データ使用の承諾が得られた180人の結果と問診票を分析し、爪切りの方法と足のトラブルの関係を見出した。今後、日本小児保健協会にて発表する予定である。 2.上記の健診結果で外反扁平足の児童の中で、足育モニターとして参加協力が得られた9名に対する介入を開始した。整形外科靴マイスターが足部観察とフットプリントを基に治療的インソールを作成し、児童及び保護者が主体的に参加できるよう初回の基礎知識のミニ講座、話し合いによるチーム名称の決定、セルフトレーニングのチェック用個人ファイルなどを工夫した。整形外科靴マイスターによる上履き着用して2週間後、初回チェックでは、児童から足底アーチへの刺激にも慣れて歩きやすいという声が聞かれた。また、立位後景で裸足と上履き着用を比較すると、脚軸が矯正されてX脚が軽減している変化が全員に認められた。フォローアップは3か月ごととし、次回はフットプリントで足底アーチの変化を確認する予定である。 3.保護者への啓発活動とその評価を目的として、12月に足や靴に関する認識を問うアンケートを実施した。回収数は88人(回収率44.0%)で、その結果は信州公衆衛生学会で発表する予定である。また、2021年3月に初回介入として、「足育通信第1号」を発行し、全家庭へ配布した。足育活動の目的、保護者アンケート結果の概要、新学期に向けた靴の選びかたなどを掲載した。 以上の活動において養護教諭の存在は本調査の調整役の要であった。今後も小学校の教職員や保護者との協力関係を強化しながら、2年目の調査活動を進めることとしている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
3チームで調査活動を計画した。小学校の1年生から6年生まで足の健診は3チームメンバーが交代制で担当し、実施にかかわり、その結果を共有できている。足のトラブルのある児童モニターの選出に承諾を得るための時間を要したため、2020年度はモニター決定が遅れ、上履きやインソール調整による介入は3月中旬の1回のみであった。 チーム独自の調査については、計画への意見交換や実施の補助にかかわりながら、各チーム責任者のリーダーシップのもとで実施できている。 3チームとも、保護者へのアンケートやインタビューを行っており、クラス担任教員の理解と協力が必須であった。養護教諭が、この調査のキーパーソンとして、校長先生はじめ学校内の教職員間を調整してスムーズな調査実施へ大きな協力が得られている。 3チーム中、質問紙調査を実施した①③の2チームは、データを分析して第1段階の結果による学会発表をエントリーしている。2021年度は2年目として、3チームの活動を継続していく。
|
今後の研究の推進方策 |
2021年度は2年目として、3チームの活動を継続する。①全校児童の足の状態の把握と分析、②足のトラブルを有する児童モニターへの上履きとインソール調整後の変化のフォローアップを3か月ごとに、靴のサイズアウトに伴う靴とインソール調整を6か月ごとに実施する。③保護者向けの足育通信を3回/年発行し、家庭内での児童保護者の知識の交換や啓発を目指す。 3年目の評価時期までに、上記①②③のチーム活動を継続する。さらに、③では、文字による情報提供だけでなく、小学校の保護者会等を活用し、保護者の足育への理解を広げるために、対面(またはリモート)による足育の啓発活動も組み入れていく予定である。 また、1年目の活動結果を基に、今後の小学校学校の足の問題を一つの小学校にとどめることなく、地域ぐるみで取り組むためのきっかけとして、対象校の小学校長、PTA代表、教育委員会等のメンバーを含む足育の検討会議を立ち上げて、調査活動の理解を得ながら、活動を広げていく予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
2020年度は8月に健診を実施した関係で、足のトラブルを有する児童モニターへの介入が3月に1回のみの実施となった。2021年度からは、児童モニターの観察介入は成長に応じて、3か月ごとに実施、モニターの上履きとインソール変更も成長に応じて、2回/年は必要となる。それらに関する代金は1回につき、30万程度必要となることが予想される。2020年度はCOVID-19による影響で、健診の回数は減少、派遣や出張を控えていた。2020年度の成果に関して学会発表等の関係旅費等については2021年度の執行とする。
|