電気の利用量データを用いた使用機器推定結果を用いて、生活支援の仕組みを構築することをねらいとし、2022年度は、新たに大都市(東京都杉並区)において2週間の実験を行った。具体的には、1)電気の利用量から生活の状況を推定するシステムを利用して居宅者の生活状況を推定すること、2)居宅者の生活状況の推定結果が居宅者の健康状態を知る手掛かりとなること、の2点について検証を行った。1)について、一日の5つのイベント(起床、朝食、昼食、夕食、就寝)の推定はある程度可能であることが確認できた。2)について、健康であるすべての実験協力者の方々の5つのイベント(起床、朝食、昼食、夕食、就寝)が発生した時間の変動幅は小さいことが分かった。このため、イベント発生時間の変動幅は、健康状態を知る指標となりうることが分かった。
研究期間を通じて、介護事業所の協力を得て自宅介護を受けている高齢者の方、健康な高齢者の方を対象とした実験を行った。前者は、介護対象者の生活パターンを把握することが可能となり介護業務の効率化に資することが明らかになった。後者の実験でも、生活パターンを把握することが可能であり、加えて、一日の5つのイベント(起床、朝食、昼食、夕食、就寝)の発生時間の変動幅が健康状態を知る指標となりうる知見を得た。その一方で、実験協力者の方々へ、電気使用量から生活パターンの推定を行う仕組みの説明(特にアルゴリズムの説明)は容易ではなかった。今後は、より分かりやすい説明方法が必要であることが分かった。また、使用する電力データ(以下、Bルートデータ)を利用するための手続きが煩雑であることや、突然、Bルートデータが取得できなくなるなどBルートデータ取得に起因する課題もあることが明らかになった。
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