研究課題/領域番号 |
20K11070
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
野垣 宏 山口大学, 大学院医学系研究科, 教授 (10218290)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 地域在住高齢者 / 食生活 / 栄養状態 / 身体機能 / 認知機能 |
研究実績の概要 |
山陽小野田市が実施する特定健診を受診した65歳から74歳の高齢者120人を対象とした。男性は、エネルギー摂取量・タンパク質摂取量(P<0.01)、いも類・豆類・魚介類・肉類・乳類(P<0.01)、穀類・その他の野菜・海藻類(P<0.05)が不足していた。女性は食塩(P<0.01)、菓子類・砂糖・甘味料類・油脂類(P<0.01)が過剰摂取であった。女性の栄養良好群は手段的日常生活動作が低く(P<0.05)、男性の低栄養のおそれまたは低栄養群は握力が低かった(P<0.05)。男性は全般的に食品摂取量不足でエネルギーやタンパク質の摂取量が不足していた。女性は菓子類等の過剰摂取でエネルギーが充足していた。そのため、男性の低栄養のおそれまたは低栄養群は握力低下があり、女性は栄養状態が良好でも、個人の栄養摂取状況の不適で脚点が低く身体機能の低下が認められたものと考えた。以上より高齢者の健康増進対策として、男女別の食摂取や食習慣、身体機能に留意した取り組みの必要性を考察した。 一方、男女別・栄養状態別で認知機能に有意差は認められなかったが、物忘れプログラムの点数は、全体平均14.1±1.4点、男性13.7±1.9点、女性14.4±0.8点で、女性が有意に高かった(P<0.05)。13点以上をアルツハイマー型認知症疑いなし、12点以下を疑いありとすると、男性は疑いなし44人、疑いあり7人、女性は疑いなし67人、疑いあり2人で、男性に疑いありの割合が多かった(P<0.05)。また、アルツハイマー型認知症では、頭頂葉の血流低下による視空間認知機能低下が特徴であることから図形認識に焦点をあてると、図形満点(2点)でない人が52人(43.3%)であった。これは認知症早期発見のための簡便なスクリーニング検査となりうるため、さらなる検討が必要である。 上記内容を関連学会で発表し、学術雑誌に掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定通りデータを収集し解析できている。その成果を全国レベルの関連学会で報告し、学術雑誌にも掲載された。ただし新型コロナウイルス感染症感染拡大により、関連学会への現地参加が制限されたため、研究成果をまとめるにあたり関連領域の最新の動向や情報収集がやや不十分である。
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今後の研究の推進方策 |
すでに関連学会で発表し、学術雑誌に掲載されているが、最終的なまとめや今後の研究の発展性を検討するにあたり、関連学術集会に現地参加し、最新の情報を得て、最終報告や将来展望に反映させる必要がある。また、今回の研究では当初想定していた認知機能と栄養状態や体組成には明らかな関連は認められなかったが、物忘れ相談プログラムの結果より導き出した図形認識機能低下が認知症早期発見の手がかりになる可能性を見出した。今後はさらに詳細にフォローアップスタディ等で検討していく必要がある。その検討過程において、今回の課題である認知症発症と栄養状態、体組成因子との関連に関しての新たな知見が見出される可能性がある。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症感染拡大の影響で、学会出張や対面での打ち合わせを予定通り実施できず、次年度使用額が生じた。2023年度は本研究に関連する最新の情報収集のための学会出張を行い、本研究の最終のまとめや将来展望に活かす予定である。
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