研究課題/領域番号 |
20K11073
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研究機関 | 千葉県立保健医療大学 |
研究代表者 |
成 玉恵 千葉県立保健医療大学, 健康科学部, 講師 (60749927)
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研究分担者 |
岸 恵美子 東邦大学, 看護学部, 教授 (80310217)
坂本 美佐子 東邦大学, 看護学部, 助教 (80807280)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 民間活力 / ヘルスケア対策 / 市町村保健師 |
研究実績の概要 |
市町村の保健活動は、地域の健康課題を新たな事業につなげる活動が減少し、ヘルスケア対策の硬直化が危惧されている。その中で、近年、民間活力を市町村のヘルスケア対策に活かすことが期待されている。しかし、民間活力をヘルスケアに活かす知見は数少なく、実践に向けた概念モデルの構築が求められる。2020年度は、市町村保健師の民間活力を活かしたヘルスケア対策の基礎資料を作成し、研究の枠組みを設定するため、以下の3点について取り組んだ。 1.保健医療福祉分野における「民間活力」の概念整理: 医中誌Web、検索エンジンgoogleから、保健医療福祉に関連する民間活力に関する文献、法律、自治体発行のガイドラインおよび内閣府を始めとした政府発行の調査報告書、計23件を抽出した。検討の結果、「民間活力」は、民間企業(NPO法人、営利企業を含む)のもつ効率的な事業運営能力や豊富な資金力と定義され、「私企業などの市場原理に基づく競争、創意工夫の努力」「個人や家庭の自立・自助の能力」「近隣・地域等社会集団における互助・連帯の力」の3つが概念として構成された。 2.市町村保健師の民間活力を活かしたヘルスケア対策に関する既存の活動事例の検討:医中誌Web、検索エンジンgoogle、健康日本21活動事例から関連する文献を5件抽出した。検討の結果、主に特定健診・特定保健指導や介護予防事業に関する委託の現状と課題が整理された。また、民間企業の開発した教育ツールを用いた健康教室や民芸品を用いた介護予防事業の事例が明らかになった。 3.民間と連携・協働の経験がある市町村保健師へのヒアリング:介護予防事業の委託の実態や健康づくり事業とスーパーマーケットとの協働実態が明らかになった。 2021年度は、民間活力を活かしたヘルスケア対策の経験がある市町村保健師を対象に、実態を面接調査で明らかにする予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画どおり、1.保健医療福祉分野における「民間活力」に関する文献検討を行い概念整理を実施、2.市町村保健師の民間活力を活かしたヘルスケア対策に関する既存の文献検討、3.民間と連携・協働の経験がある市町村保健師へのヒアリング、以上、第一段階の計画が概ね実施できた。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度は、民間活力を活かしたヘルスケア対策の経験がある市町村保健師を対象とした面接調査を実施する。前年度に倫理委員会による審査を終了したが、委員会からの提案により、民間活力の実態をより厚くするため可能な範囲で民間担当者にも調査を行う予定である。調査の対象は、1.健康日本21のホームページに掲載されている「国・自治体・団体の活動事例」の中の自治体(11事例)・団体(41事例)の取り組み、2.厚生労働省による「保健福祉分野における民間活力を活用した社会的事業の開発・普及のための環境整備事業」について採択された事業、3.検索エンジンGoogleを使用し、「民間活力」「保健師」のキーワードで検索しヒットしたもの、4.機縁法による研究者のネットワークから情報を得た事業および活動、以上4つの条件から1つ以上を担当した行政保健師および民間企業担当者、各5~7名とする。研究デザインは半構成的面接調査による質的研究を予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度は、コロナ禍によりヒアリングが制限されたことや、地方での学会出席などが行えなかったことにより、研究分担者を含め3名の研究旅費が執行できなかった。2021年度も同様の状況が想定されるが、感染状況を鑑みながら調査を実施する予定である。
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