研究課題/領域番号 |
20K11078
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
桝田 聖子 大阪府立大学, 人間社会システム科学研究科, 准教授 (10454729)
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研究分担者 |
真嶋 由貴恵 大阪府立大学, 人間社会システム科学研究科, 教授 (70285360)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 認知症 / 共感性 / 人型ロボット |
研究実績の概要 |
2020年度は、①小学生との共同学習を行う人型ロボット教材の開発、②人型ロボットの実装を行った。①に関しては、認知症サポーターとして思いやり行動に必要な共感性を高める人型ロボット教材の考案を行った。具体的には、Pepperを認知症高齢者役、RoBoHoNを小学生役に見立てた教材を作成した。②に関しては、2021年2月、S市立A小学校5年生38名を対象に人型ロボット(Pepper、RoBoHoN)教材を活用した認知症サポーター養成講座を実施した。プログラムは、①認知症高齢者に見立てたPepperと小学生に見立てたRoBoHoNによる寸劇、②認知症に関する学習、③グループワークで困っているPepperの気持ちを推測し思いやりのある声かけを考える、④発表をとおして他グループの学びを共有、とした。評価には、認知症に関する知識、気持ちの理解、思いやり行動に関する自記式質問紙(選択肢質問23項目,自由記述式2問)を作成し、講座前後に調査を行った。講座の効果として「認知症は誰でもなる病気」、「認知症の人にどう声を書ければよいか知っている」、「S市での認知症の人を見守る方法を知っている」と答えた児童の割合が増加していた。自由記述では、「認知症の人への声かけがりかいできた」、「認知症の人には優しくする」など適切な対応を学んだ記述がみられた。一方で、「認知症で困っている人がいたら助けたい」、「もっと認知症のことを知りたい」項目では講座前後に変化はなかった。小学生が認知症の人への共感性を高めるため、2021年度は人型ロボット教材のジェスチャー要素についても検討していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍において、学校現場での認知症啓発教育が難しくなっている。2020年度は認知症啓発教育の開催依頼が1件、実施1件であったため、認知症サポーター養成講座で思いやり行動に必要な共感性を高める教材の要素を見出すまでには至っていない。そのため、2021年度は文献レビューを強化、地域関係者及び学校関係者との連携して教材評価の基準に反映させる。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度は、2020年度の結果を踏まえ①人型ロボット教材の改良、②教材効果を測定する評価指標の作成を行う。①に関しては、ロボット教材に他の認知症症状を追加、小学生が繰り返し対応を確認できる教育プログラムを検討する。②に関しては、文献調査から評価指標案を作成(指標項目の選定)、分担研究者の真嶋とともに評価指標案を作成する。作成した評価指標案は、地域関係者、学校関係者に意見を求める(情報収集)。その後、指標項目の追加・修正を行い、小学生の認知症サポーター養成講座で使用する。その結果をもとに、小学生との共同学習を行う人型ロボット教材としての完成度を高める。
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次年度使用額が生じた理由 |
①使用する人型ロボットの購入を検討する。
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