研究実績の概要 |
本研究の目的は,都市部における中高年者の社会的孤立および孤独感を規定する社会環境的要因と地域特性の把握,ならびに社会的孤立と孤独感の関連を明らかにすることで,都市部における中高年者の社会的孤立予防に向けた,孤独感軽減支援プログラムの開発を日指すことである。今年度は,①孤独感,社会的孤立に関する文献を検討し,社会的孤立に影響を与える社会環境的要因,および健康との関連についての分析に着手した。また,②新型コロナウイルス感染症の一般者向け電話相談に協力し,コロナ禍が与える地域住民の身体的・心理的・社会的影響について考察した。 ①国内外の孤独感,社会的孤立に関する文献の検討:国内外の成人を対象とした研究論文を検索した。欧米では大規模な横断研究,前向きコホート研究が行われており,年齢層別にみた孤独感と社会的孤立の関連,社会的ネットワークや社会的サポートが孤独感に与える影響,孤独感と健康行動の関連などが明らかになっている。国内においても,高齢期,青年期にある対象の孤独感や社会的孤立の要因,社会的ネットワークとの関連など数多く報告されている。一方で,中高年期に関する知見は限られている。 ②コロナ禍が与える地域住民の身体的・心理的・社会的影響と孤独感との関連についての考察:地域住民は,新型コロナウイルス感染への不安や恐怖, 自粛生活や行動制限がもたらす心身のストレス,発信される情報への不信感や混乱などが日常的になっていることが分かった。また,感染症の蔓延防止のため,ソーシャル・ディスタンシング(社会的距離をとること)が推奨されている社会において,孤独感をより高めている可能性が考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルスの感染拡大によって,誰しもが閉塞感や孤独感を高め,社会的孤立や健康リスクにつながることが社会問題として顕在化している。現地調査の準備として,研究分担者や協力者と共に調査方法について検討するなど,計画の実現に向けて取り組んでいきたい。
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