研究実績の概要 |
本研究の目的は,都市部における中高年者の社会的孤立および孤独感を規定する社会環境的要因と地域特性の把握,ならびに社会的孤立と孤独感の関連を明らかにすることで,中高年者の社会的孤立予防に向けた,孤独感軽減支援プログラムの開発を日指すことである。本年度は,①日本の中高年者における孤独感,社会的孤立に関する文献検討,②在宅療養中の新型コロナウイルス感染者(または濃厚接触者)への健康観察・相談活動,③社会的孤立に関する研究会等への参加,以上により中高年層の孤独感や社会的孤立に関連する社会環境的要因とその支援についての現状分析を行った。 ①日本の中高年者における孤独感,社会的孤立に関する文献検討:中高年者における孤独感とソーシャル・サポート,精神的健康度、Sense of Coherence(SOC)との関連が報告されているが,孤独感を規定する要因に関する知見は少ない。②在宅療養中の新型コロナウイルス感染者(または濃厚接触者)への健康観察・相談活動:社会生活からの隔離を余儀なくされた住民の身体的・心理的負担は大きく,とりわけ高齢者において,他者との交流が減少したことによる寂しさや不安を感じ,社会的孤立を自覚する対象が多いことが推察された。③社会的孤立に関する研究会等への参加:日本では人と人とのつながり,社会的つながりを軸とした居場所づくりの支援が数多く進められており,その成果が期待されている。一方で,支援を求めることができない人も少なくなく,そうした対象への介入のあり方が課題である。個々のニーズを受け止め,受援力を高める働きかけの重要性が示唆されている。 今後は,孤独感と社会的孤立に関する海外の文献レビューを進め,次いで中高年者の孤独感を規定する要因を明らかにするため,都市部の中高年者を対象に調査を実施する計画である。
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