| 研究課題/領域番号 |
20K11087
|
|---|
| 研究機関 | 中部大学 |
|---|
研究代表者 |
緒形 明美 中部大学, 生命健康科学部, 講師 (80740696)
|
|---|
| 研究分担者 |
藤原 奈佳子 人間環境大学, 看護学部, 教授 (30178032)
小木曽 加奈子 岐阜大学, 医学部, 准教授 (40465860)
|
|---|
| 研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
| キーワード | 人材定着 / 施設管理責任者 / 質的帰納的分析 |
|---|
| 研究実績の概要 |
1．背景 我が国の超高齢化社会において、高齢者が病気と共存しながらQOLを維持し、住み慣れた地域や自宅で生活する地域包括ケアシステムの構築こそが急務である。地域包括ケアシステム構築を支える基盤サービスの要である地域特養に着眼した人材定着の指標を示すことは急務であるにもかかわらずまだ開発されていない。本研究の目的は、地域特養における、職員を惹きつけ引き留めるためのリテンション・マネジメント尺度（Retention Management Scale以下、RMS）を開発し、実践可能な魅力ある職場づくりと職場継続意向を高めることに適用することである。
2．目的 RMS開発の構成概念を検討するために、運営側である施設管理責任者が考える人材定着のための課題と魅力ある職場について質的に明らかにする。
3．方法 東海地方の地域特養の施設管理責任者9名を対象に質問紙法と半構造化面接を実施した。抽出方法は、地域タイプを基準に、大都市型、地方都市型、過疎地域型の3形態に分類し、堅実な運営状況あるいは人材定着に対し積極的な取組をしていると考えられる施設を抽出した。分析は対象者が語った言葉すべてを逐語録にし、その後、人材を職場に惹きつけ、定着につながる取り組みについて、現在実施していることを含め実施すると良いと考えることについて述べられている箇所に着眼し質的帰納的に分析した。
4．結果 研究対象の年齢は40代と50代が多く（それぞれ33％）、取得している資格は社会福祉主事（56％）、介護福祉士（44％）が多かった。インタビュー時間は41分（SD11.3)であった。分析の結果、施設長のマネジメントスタイル、小規模施設の特徴を活かした運営、地域に根を張る組織としての運営、小規模施設に特徴的なチーム生成、職員のケア実践力の向上、知識・技術の獲得に向けた支援など構成概念が考えられた。
|
| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
インタビューに先立ち、国内の介護保険施設に着眼し、人材定着のための職場環境に関する研究動向を明らかにした。医学中央雑誌Web版（Ver.5）の文献データベースを用いて、介護保険制度が創設された2000年以降を対象とした。キーワードはシソーラス用語の「介護保険施設／TH」and「職場／TH or 職場／AL」で抽出し、高齢者施設の職場や人材定着に関する33文献を分析対象とした。人材定着に関する職場環境の要素を分類し命名した結果、【物理的側面】について2項目、【運営体制】について15項目、【人的側面】について5項目で構成される3つの要素が抽出された。これらの要素とインタビューによる調査結果と併せて検討し、人材定着のための運営形態の視点となる枠組みについて示唆を得られた。
|
| 今後の研究の推進方策 |
次年度は、看護職・介護職の働く側から考えるRMSの構成概念を検討する予定である。今年度と同様アクティブインタビューの手法を取り入れたフォーカスグループインタビューを実施する。対象施設の抽出は、地域タイプを基準に、大都市型、地方都市型、過疎地域型の3形態とし、各1施設計3施設を対象とする。対象者は看護職員2名、介護職員4名の計6名を1グループとする18名で、データを質的帰納的に分析する。
その後、RMSに関する理論背景（組織行動学、経営学、看護管理学等、他領域を含む検討）から、概念の整理・概念分析をし、測定概念を明確にする。尺度項目群について、看護管理学・老年看護学など専門家約10名と共に検討し、RMSの原案を作成する予定である。
|
| 次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルスの影響により、参加を予定していた国際学会が延期になり、旅費を繰越すこととなったため。
|
