研究課題/領域番号 |
20K11095
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
小林 恵子 新潟大学, 医歯学系, 教授 (50300091)
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研究分担者 |
成田 太一 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (70570521)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 子ども虐待 / 保健師 / SFA / Positive Deviance |
研究実績の概要 |
母子保健の最前線にいる保健師は虐待ハイリスク家庭の身近な支援者として期待されている。しかし、子ども虐待は要因が複雑に絡み合い、家族の病理を抱える親と支援関係を構築することが難しく、有効な支援方法を見出しにくい現状がある。申請者は行政保健師と10数年にわたり、子ども虐待事例検討会を実施してきたが、従来の子ども虐待への支援目標や検討は問題の改善や解決に焦点が向けられた結果、問題を浮き彫りにできても親の緊張や抵抗を高め、支援関係の構築を困難にさせ、問題を打破することが困難であった。そこで、本研究では保健師を対象に家族の強みや「厳しい環境の中でも例外的にうまくいっていること」(以下,Positive Deviance)に焦点を当て、それを有効に活用するSolution Focused Approach(以下,SFA)を導入した保健師の支援プログラムを開発し、研修を行い、支援の評価をすることを目的としている。 文献検討として,医学中央雑誌Web版を用いて,「Solution Focused Approach」をキーワードに2021年8月23日現在で検索を行った。検索された論文12件のうち,解説,会議録等,SFAの実践と結果が記述されていない論文を除き3件とし,ハンドサーチにより1件を追加し4件の論文を対象とした。結果,対象とした4文献の内容は症例報告3件,調査研究1件であった。3件の症例報告では,いずれも動機づけや行動変容が困難とされた対象にSFAが実施されており,「Positive Deviance(例外的にうまくいっていること)」を確認し,「本人の希望や思いを尊重し,目標に近づく具体的な方法を考える」ことを実践していた。SFAは行動変容が難しい対象への効果が期待されると考えられるが、報告が少なく、今後、エビデンスを蓄積していく必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
Covid-19流行の影響により,SFAの研修会も中止となり,研究者自身も関係者も多忙を極め,行動制限もありるなかで,関係者で検討することができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
研究者らで以下を検討し,オンライン開催も含めた下記の実施を行う予定である。 ①研究協力者らによって支援プログラムを検討する。 ②行政機関の保健師に子ども虐待事例の支援についてインタビューを実施し,Positive Devianceの集積を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
Covid-19流行の影響により,SFAの研修会も中止となり,関係者も含め多忙を極め,行動制限もありるなかで,関係者で検討することができず,次年度執行額が生じた。 2022年度はオンライン開催も含めた事例検討会やインタビューの実施を行うための経費を執行する予定である。
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