本研究は、介護予防行動を引き起こすトリガーとしての主観的幸福感に注目し、家族介護者に対し、介護を担いながらどのような生活体験をしているかのインタビューを行ない、介護をする中での幸福感、介護予防行動の内容等を抽出する。次に、この結果を基に、質問紙を作成し、全国調査を実施し、家族介護者の介護予防行動の影響要因を明らかにし、家族介護者の介護予防につながる前向きな行動を促進するモデルを構築する。 これら一連の研究において、2020年度は、文献検討を実施し、2021年度は、家族介護者に対するインタビューを行うため、A県内の居宅介護支援事業所の管理者への協力依頼文書の発送を実施した。 2022年度は、介護を要する高齢者の家族介護者7名に対しインタビューを1人につき2回実施した。1回目インタビューの調査項目は、家族介護者がとっている介護予防行動、継続する理由、家族介護者が幸福を感じる場面等とし、2回目のインタビューは、1回目のインタビューで研究者が理解した内容を伝え,相違がないか確認した。これらのインタビューの逐語録から、家族介護者が介護をする中での幸福感、自身の健康への思い、これまでの自己健康管理の内容、それらのきっかけと継続理由、中断理由を抽出した。また、このインタビュー結果と文献検討結果をふまえ、介護を要する高齢者の家族介護者の自己健康管理の影響要因を検証するための質問紙を作成し、全国調査を実施するために、本学倫理委員会に申請し、承認を得るところまでを行った。 2023年度は、全国の居宅介護支援事業所のうち2000居宅介護支援事業所を層化二段無作為抽出法にて抽出し、管理者宛に介護を要する高齢者の家族介護者2名に調査票の配布を依頼した。得られた結果から家族介護者の自己健康管理の影響要因を分析し、家族介護者の介護予防につながる前向きな行動を促進するモデルを検討した。
|