研究課題/領域番号 |
20K11115
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研究機関 | 東都大学 |
研究代表者 |
千々岩 友子 東都大学, 沼津ヒューマンケア学部, 准教授 (40637104)
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研究分担者 |
石村 佳代子 国際医療福祉大学, 小田原保健医療学部, 教授 (40295564)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 自殺念慮 / 身体疾患 / 訪問看護 / 在宅医療 / visiting nurse / suicide prevention / suicidal ideation / 在宅療養者 |
研究実績の概要 |
本研究課題の目的は、身体疾患をもち、かつ自殺念慮を有する在宅療養者に関わる訪問看護師(以下、一般訪問看護師とする)の看護実践の現状や課題を解明し、自殺予防のための訪問看護実践モデルを開発することである。本研究は、3段階のステップで構成されており、2022年度は、3段階目の研究である「連携する多職種およびエキスパートナースの聞き取り調査による自殺予防の看護ケアの課題解決とモデルの洗練化」を行う予定であった。しかし2段階目の研究の遂行が難航し、2022年度は引き続き、第2ステップの研究を進めた。 第2ステップの研究は、「身体疾患かつ自殺念慮を有する在宅療養者に対する看護ケアの実態と課題の明確化」であった。自殺念慮者に関わる一般訪問看護師のケアの実態を明らかにするために、自殺念慮者との相互作用のなかでの一般訪問看護師の経験に着目し、一般訪問看護師15名に対してインタビュー調査を行った。インタビュー調査の結果、一般訪問看護師は、利用者との関係性を維持していくことを固執することに重点をおきながら、『死にたい』気持ちの核心には触れないように関係をつないでいく経験をしていた。この結果から、一般訪問看護師は、自殺念慮者の自殺のリスクアセスメントや自殺念慮者とのコミュニケーションについての課題があることが示された。在宅医療において、自殺念慮者への支援は多職種で連携して行っていく必要があるため、多職種およびエキスパートナースの助言を得て、課題を克服するための戦略を立て、看護モデルを確立していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究は、3段階のステップで構成されており、2022年度は、3段階目の研究である、「連携する多職種およびエキスパートナースの聞き取り調査による自殺予防の看護ケアの課題解決とモデルの洗練化」を行う予定であった。しかし2段階目の「自殺念慮者に対する一般訪問看護師の看護ケアの実態と課題の明確化」の遂行が難航した。理由は、インタビュー調査の対象者のリクルートが滞ったためである。最初は、「自殺念慮のある利用者への訪問看護の経験」を語ることのできる一般訪問看護師をリクルートしていたが、過去に精神科看護の経験のある訪問看護師とそうではない訪問看護師ではその経験に違いがあるのではないかと考え、精神科看護の経験のない一般訪問看護師に絞って、リクルートを行ったことにより、より対象者が限られ、インタビュー調査に時間を要してしまった。しかし2022年内にインタビュー調査、分析、結果の考察まで進めることができ、国際学会で結果を公表することができた。現在は論文作成中である。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度は本研究課題の終了年度であった。しかし研究遂行が遅延したため1年延長した。2023年度は、3段階目の研究として、「連携する多職種およびエキスパートナースの聞き取り調査による自殺予防の看護ケアの課題解決とモデルの洗練化」を行う。第2段階目で得られた一般訪問看護師の課題を克服するための方略を多職種およびエキスパートナースから助言を得ながら、最終的に「身体疾患をもち自殺念慮を有する在宅療養者の訪問看護実践モデル」を確立する。そのため、本年度は、計画書の立案、学内倫理審査等への申請、インタビュー調査と分析を行い、結果をまとめる。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究課題の3段階目に要する予定研究費が次年度使用額として生じた。2023年度は、多職種およびエキスパートナースへのインタビュー調査を行うため、インタビュー調査の交通費、謝金、テープ起こし料、結果の公表のための学会参加費や論文投稿料が必要になる。よって2023年度は助成金をこれらの研究費用として使用する予定である。
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