研究課題/領域番号 |
20K11120
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
増本 由紀子 広島大学, 医系科学研究科(保), 研究員 (50824992)
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研究分担者 |
梯 正之 広島大学, 医系科学研究科(保), 教授 (80177344)
松山 亮太 広島大学, 医系科学研究科(保), 助教 (00780008)
恒松 美輪子 広島大学, 医系科学研究科(保), 講師 (80704874)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | インフルエンザ / 学校 / 養護教諭 / 数理モデル / 学級閉鎖 |
研究実績の概要 |
本研究は、欠席データに学校の現状を考慮した上で、インフルエンザのまん延抑止の有効性を判断するための枠組みを持った数理モデルを構築し、学校での効果と効率性の分析・評価を試みる。さらに流行予測に基づく養護教諭の保健管理システムを検討することを目的とする。 今年度(2021年度)は、次の2点について重点的に取り組んだ。 (1)学級閉鎖を評価するための新たな数理モデルを構築した。調査に協力いただいた1市4校の高等学校から得られた3年間の季節性インフルエンザの流行データと学級閉鎖データ、及び地域の流行データをもとにモデルの構築を行い、シミュレーションの試行と評価を行った。パラメータの推定にあたっての適切な条件設定を検討し、学校インフルエンザの流行予測モデルの精緻化や推定されるパラメータの安定化を図った。モデル改善を繰り返し行い、最終的に構築したモデルにおいて、高等学校における学級閉鎖の有効性について定量的に評価した。 (2)4県の公立小学校養護教諭を対象に学級閉鎖に関する実態調査を行った。714名(回収率37.9%)の調査協力を得て、現在は統計解析を行い分析している。 今後は季節性インフルエンザによる学級閉鎖をより有効に、かつ閉鎖によって生じる不利益が最小となるよう、学級閉鎖の開始時期や期間について論拠のある適切な判断をするための判断材料の一つとして、各学校において流行状況に応じて、養護教諭が利用できる一般性のあるモデルへの拡張を試みる予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
高等学校の季節性インフルエンザの流行データをもとに、新たに数理モデルを構築し、学級閉鎖の効果を定量的に評価することができた。また小学校養護教諭の学級閉鎖に関する調査を実施した。計画通りに研究が遂行でき、得られた研究成果は学会で発表した。
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今後の研究の推進方策 |
前述のとおり、2年目には一定の成果を得ることができたので、最終年度は計画に沿い研究を進め、本研究成果を発表する予定である。 (1)小学校での季節性インフルエンザによる学級閉鎖の特性と判断の影響要因の分析:小学校養護教諭への実態調査をもとに記述統計を行い、小学校での学級閉鎖の特性、学級閉鎖の判断に関する課題等を分析し検討する。 (2)学校インフルエンザの流行予測に基づく養護教諭の保健管理システムの考察:数理モデルによる学級閉鎖の定量的な検討と養護教諭調査の分析結果をもとに本研究の成果を整理し、養護教諭の保健管理について考察する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2021度の学会発表がオンライン開催に変更になり、参加費等が申請時予算から減額したことから、予算を繰り越し、2022年度に論文発表に係る費用に充てることにした。
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