研究課題/領域番号 |
20K11126
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
西原 三佳 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(保健学科), 客員研究員 (70712107)
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研究分担者 |
大西 眞由美 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(保健学科), 教授 (60315687)
中村 安秀 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, 国立看護大学校, 特任教授 (60260486)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 在日外国人 / 地域災害対策 / 共助・自助 / 多文化共生社会 |
研究実績の概要 |
令和3年度は、自治体や地域での在日外国人支援を行っている国際交流財団の防災担当者へ、半構造化インタビュー調査を実施した。他の国際交流協会等との連絡会などを通じ、普段から防災に限らず情報共有を行っている。また外国人住民向けに、定期的に様々な情報をメール配信にて提供しており、適宜防災に関する内容も含まれているとのことだった。災害・防災に関する具体的な活動には、地域の通訳・翻訳ボランティアが参加する避難所設置運営訓練の定期的な実施、また防災に関する多言語情報ツール作成や他団体等へのツール提供なども行っていた。外国人が抱える防災に関する課題として、滞在期間や出身国等により災害の備えも異なる現状があるため、まず災害への備えの大切さをあらゆる機会や媒体を通じ伝えることが重要と述べていた。平時からのキーパーソンとの繋がりや、地域にある団体等と外国人を“つなげる”ことが、自分達の大事な役割であると語っていた。さらに、発災時の外国人側の課題として考えられるのは、情報へのアクセスや避難場所での生活の困難さ等が挙げられた。避難所運営に外国人も関わる事、またやさしい日本語の普及や多文化理解など日本人側の歩み寄りも必要との意見であった。 また地域防災を担う行政における外国人の防災対応への取組みを把握するため、全国の保健所・保健センターへ調査を実施した。「自治体で外国人向けに多言語対応している防災・災害時対策」に関する質問票を計1736か所に送付した。質問票への回答は、保健師代表者に行ってもらうように依頼し、470件(27.1%)の返信があった。現在、データ分析中である。 令和4年度は、引き続き在日外国人支援を行っている団体やキーパーソンへのインタビュー調査を続けるとともに、在日外国人へのインタビュー調査を進めていく。新型コロナウイルスの感染状況等を考慮し、適宜オンライン調査も含めて、研究を進める予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和3年度も新型コロナウイルス感染症の影響をうけ、インタビュー対象者へのアプローチや調査実施が困難となったため。
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今後の研究の推進方策 |
今後の調査においても引き続き、新型コロナウイルス感染症の感染状況を考慮しながら進めていく必要があるが、可能な範囲での対面調査、困難な場合はオンラインでのインタビュー調査を実施していく。在日外国人支援者・団体および在日外国人への調査では、感染状況によって対象人数等を考慮する必要があるため、複数人によるインタビューが難しい場合はキーインフォーマントインタビューや個別インタビューとして実施することも検討する。加えて、外国人に関する地域防災の成功例を収集するとともに、令和3年度に実施した市区町村への質問票調査結果も踏まえ、在日外国人を含めた地域での災害対策における課題を検討し、共助の担い手としての可能性に関する調査研究を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和3年度も新型コロナウイルス感染症の流行により、インタビュー調査の調整及び実施が困難となったため、主に旅費や人件費・謝金に充てていた予算が次年度使用となった。 今年度以降も引き続き、新型コロナウイルス感染症の状況を見ながら、可能な範囲で訪問や対面インタビューを実施していくため、旅費や謝金が支出される予定である。併せてオンライン等の活用も検討していくため、オンライン会議プログラム使用料などの諸費用にも充て、調査を実施していく予定である。また学会発表や論文作成等に関する支出も順次生じる予定である。
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