研究課題/領域番号 |
20K11136
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研究機関 | 杏林大学 |
研究代表者 |
坂井 志麻 杏林大学, 保健学部, 教授 (40439831)
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研究分担者 |
高井 ゆかり 群馬県立県民健康科学大学, 看護学部, 教授 (00404921)
長江 弘子 東京女子医科大学, 看護学部, 教授 (10265770)
石橋 みゆき 千葉大学, 大学院看護学研究科, 准教授 (40375853)
熊野 奈津美 (大平奈津美) 杏林大学, 保健学部, 学内講師 (10510042)
大西 知子 杏林大学, 保健学部, 助教 (90845091)
西川 裕理 杏林大学, 保健学部, 学内講師 (00912388)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 入退院支援 / 病院施設間連携 / 介護保険施設 |
研究実績の概要 |
2021年に実施したインタビュー調査のデータの分析を行った。 介護保険施設入所者の入退院支援プロセスにおける病院・施設間連携の課題として、病院職員からは、【入院時に施設からの情報がリセットされる】【病院施設間の施設機能やケア対応への認識に相違がある】【医療的ケアについて施設職員が受け入れできるようにかかわる】【医学的治癒の効果がない治療に期待する家族の調整に難しさを感じる】の4つのカテゴリーが抽出された。施設の協力者からは、【入退院の判断について病院と施設の認識が異なり、求められる医療的対応のスキルが高いと感じる】【介護保険上の施設機能や人員配置、集団生活となる施設特性から対応への制限や個別ケアに難しさを感じる】【家族が病院治療を望む場合は、病院搬送の判断に悩む】等の8つのカテゴリーが抽出された。 介護保険施設入所者の入退院支援プロセスにおける本人の意向をつなぐかかわりとして、以下の要素があげられた。病院は、入院前の状況を知るために【施設や今までの暮らしを知る】【入院前・入所時の本人の意向とその背景を確認する】。そして【入院生活で発せられる本人の意向を捉えて共有し実践につなげる】【今後どのように生活していきたいか家族の意向を確認する】【本人の思いを代弁して施設に伝える】ようかかわっていた。施設は【入所時・入所中を通して人生の最終段階をどのように迎えたいか本人・家族の意向を確認する】【施設での看取りができるように体制を整える】ようかかわっていた。家族に対して【人生の最終段階に向けて家族の心の準備をサポートする】【家族内の意向をすり合わせる】【本人の意向を推測して選択できるように家族と伴走する】。また【生活史やその人らしさ最期までどのように生きていきたいのかを捉えて共有し切れ目なくつなぐ】【最期をどのように迎えるか本人の意向を病院と共有する】ことで意向をつなぐよう取り組んでいた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
コロナ禍によるインタビュー調査の遅れから、質的データ分析作業が遅れたことにより、実態調査、関連探索研究として行う質問紙調査項目の洗練作業にも遅れが生じている。 今後は質的データから得られた要素をもとに全国の特養・老健を対象とした質問紙調査を早急に実施し、病院施設間連携の実践要素について明らかにしていく。
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今後の研究の推進方策 |
本年度のインタビュー調査結果をもとに質問項目(入退院支援の各時期の役割の認識と実践していること、情報共有内容、連携上の工夫点・課題)を精選し、介 護保険施設入所高齢者の急性期病院との入退院連携の実態調査を東京都の特別養護老人ホームおよび介護老人保健施設を対象に郵送法による自記式質問紙調査を 今後実施していく。 コロナ感染症の影響を考慮して、感染状況が落ち着いている時期をみて研究依頼を行い、リマインドのハガキを郵送して回収率をあげるようにアプローチする。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍によるインタビュー調査の遅れから、今年度実施予定の質問紙調査が次年度実施となった。次年度は今年度の質的分析の結果をもとに質問紙を作成し、全国実態調査を実施する。
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