研究課題/領域番号 |
20K11137
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
菱田 一恵 順天堂大学, 医療看護学部, 准教授 (00326117)
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研究分担者 |
野崎 真奈美 順天堂大学, 医療看護学部, 教授 (70276658)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 中堅訪問看護師 / 家族支援 / 教育プログラム / 訪問看護ステーション |
研究実績の概要 |
本研究は、訪問看護師としての活躍の仕方を左右する分岐点である一人前訪問看護師から中堅訪問看護師への育成に焦点をあて、中堅訪問看護師のための家族支援能力向上プログラムを開発することを目指す。 2021年度は、中堅訪問看護師に必要とされる家族支援能力のコンピテンシーをさらに洗練し、①家族との信頼関係の構築、②家族への対応、③家族にかかわる判断、④療養者本人・家族の作り上げる生活の尊重、⑤療養者本人と家族それぞれの思いの尊重と配慮、⑥家族への働きかけ、⑦家族との協働、⑧訪問看護の面白さ・やりがいの実感、の導出された8カテゴリーを確定し、これらのコンピテンシーを獲得するためのルーブリックを完成させた。続いて、作成したルーブリック表に基づき、プログラムを逆向き設計し、具体的に使用する教材を検討した。また「中堅訪問看護師に必要とされる家族支援能力」に関して日本家族看護学会第28回学術集会で発表した。その発表に至る過程で、日本家族看護学会において家族支援専門看護師を中心に、「家族看護実践力を伸ばす研修計画立案に役立つ教育ツール」作成に向けて研究が進められていることを把握した。その内容は本研究の中堅訪問看護師に必要とされる家族支援能力のコンピテンシーと一部重なる部分があり、それらは家族支援を行っていく上で重要な要素であることが確認できた。 スウェーデン等では、家族システム看護 Family systems nursing (FSN)介入の一つである Family health conversationsについてのWebベース学習介入に関する先駆的な研究が近年進められ、利点や課題が明らかになっており、今後はそれらを反映させながらICT教材を完成させ、小規模事業所の訪問看護師に実施し、評価を実施していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2年目であった2021年度の計画は、訪問看護師の労働環境の特性等からモバイル型パソコンを活用したICT教材を完成させる予定であったが、新型コロナウィルスの影響によって研究に十分な時間をとることができなかったため、ICT教材作成に着手することを目標とした。具体的には、中堅訪問看護師に必要とされる家族支援能力のコンピテンシーをさらに洗練し、これらのコンピテンシーを獲得するためのルーブリックを完成させた。続いて、作成したルーブリック表に基づき教育プログラムを設計し、具体的に使用する教材を検討した。
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今後の研究の推進方策 |
本研究を進めていく過程で、日本家族看護学会において家族支援専門看護師を中心に「家族看護実践力を伸ばす研修計画立案に役立つ教育ツール」に関する研究が進められていることや、西欧において家族システム看護 Family systems nursing (FSN)のWebベース学習に関する先駆的な研究が近年進められていることが明らかになっている。それらを参考にしつつ、わが国の特に小規模事業所で訪問看護に従事している中堅訪問看護師を対象とした、家族支援能力向上プログラムのICT教材を完成させ、プログラムの有用性を検証していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初は2021年度にICT教材が完成する予定であったが、完成が遅れている状況である。そのため、2022年度はICT教材を完成させ、複数の小規模事業所にICT教材を貸し出すことを想定し、複数の専用パソコンを準備する予定である。また、ICT教材を貸し出すまでの過程には、①モバイルパソコンの購入費用、②プログラム参加希望者募集のための通信費、③学会発表時の参加費・交通費等が必要である。
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