研究課題/領域番号 |
20K11148
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研究機関 | 吉備国際大学 |
研究代表者 |
横溝 珠実 吉備国際大学, 保健医療福祉学部, 講師 (50846079)
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研究分担者 |
長江 弘子 東京女子医科大学, 看護学部, 教授 (10265770)
中塚 幹也 岡山大学, 保健学研究科, 教授 (40273990)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 児童虐待 / 社会的ハイリスク妊産婦 / 概念分析 / 母子支援システム / 支援ネットワーク |
研究実績の概要 |
保健師と助産師の「気になる妊産婦の捉え方」の相違を解明する前段階として、ハイブリッドモデルに基づく概念分析を行った。ハイブリッドモデルは文献レビューとフィールドワークを組み合わせて概念の実際の運用を解明する手法である。令和2年度は、岡山県内の保健師および助産師それぞれ10名にインタビュー調査を実施し、データ分析を進めた。 岡山県内の産科医療機関と行政で母子支援システムとして運用している「妊娠中からの気になる母子支援連絡票」の8年間の報告事例4598件を分析した。岡山県内における子ども虐待相談対応件数は「妊娠中からの気になる母子支援」連絡票を活用したシステム開始の翌年である2012年以降は減少に転じており、2012年度の相談件数1,641件に比べ、2018年度は850件と半減していた。連絡事例の内容をみると社会的リスク因子として「未婚」1,318件(28.7%)、「精神科的支援が必要」1,090件(23.7%)、「夫・家族の支援不足」802件(17.4%)「10代の妊娠」771件(16.8%)などが高率であった。職域のハードルを越えて、妊産婦への「気になる」という感覚を保健師と助産師が共有することで、支援を必要とする妊産婦を見落とさない環境が整いつつある。虐待リスクの可能性がある妊産婦への支援を早い段階で開始することで、虐待のような深刻な状況になってからの相談や通告件数が減少してきている可能性があることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和2年度の計画である保健師と助産師へのインタビュー調査を終えており、また「気になる連絡票」の分析まで終えることができた。
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今後の研究の推進方策 |
令和3年度は前年度に実施したインタビュー結果をハイブリッドモデルの手法を用いて分析を行うとともに、令和4年度に実施予定の全国調査に向けたアンケート項目の検討を行っていく予定としている。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナにより学会参加の機会が持てず、予定していた学会参加費等の支出が行えなかった。次年度は学会開催の動向をみながら、積極的な参加を行っていく予定としている。
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