研究課題/領域番号 |
20K11154
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
上村 純一 名古屋大学, 医学系研究科(保健), 准教授 (70467322)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 体性感覚 / 脳磁計 / 知覚 |
研究実績の概要 |
R2年度は新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、所属機関での研究実施が停止される期間があり、またその期間後も感染予防の観点から、測定機器の使用に制限がなされ、実質的なデータ測定ができなかった。そのため、既存データを用いて体性感覚弁別訓練の基盤となる意識的な知覚に至る認知情報処理過程について検討を行った。 健常成人19名(平均年齢:22.1±1.1、男性11)を対象に、知覚割合が50%程度になるような低刺激強度の体性感覚閾値近傍刺激を呈示し、知覚できた場合とできなかった場合とで、脳機能の差異を検討した。結果、刺激呈示前段階でのalpha周波数帯域の神経活動が、知覚条件で非知覚条件に比して有意に低下しており、意識的知覚に関与していることが明らかとなった。さらに、刺激呈示後の1次体性感覚野よりも高次の体性感覚関連脳領域が意識的知覚の主座であることが明らかとなった。一方、1次体性感覚野では脳活動の差異は検出されなかったことより、1次体性感覚野の皮質活動は意識的知覚の必要条件ではあるが、十分条件ではないことが分かった。これにより、意識的な知覚に至る脳機能処理としては、刺激呈示前段階におけるalpha活動による1次体性感覚野の神経活動への影響と、その後に続く2次体性感覚野との双方向性の機能結合が重要な役割を担っていることが分かった。本結果は、体性感覚弁別訓練の神経可塑に与える影響の検討において、次年度以降の研究に繋がるものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、所属機関での研究遂行が停止される期間があり、またその期間後も感染予防の観点から、測定機器の使用に制限がなされ、実質的なデータ測定ができなかった。それにより研究の進捗は遅れている状況である。そのため、既存データを用いて体性感覚弁別訓練の基研究の進捗は大幅に遅れている状況である。ただし、既存データを用いた検討ではあるが、本研究課題に活用が期待できる体性感覚弁別訓練の影響の検討に繋がる検討は実施できた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、当初の予定の1年遅れではあるが、体性感覚弁別訓練を用いた検討を感染予防に留意しながら進めていく。まずは単回の弁別訓練による即時的な脳機能変化を検討していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
繰り返しとなるが、 新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響による研究進捗の遅れにより、研究費の使用自体がほとんど生じなかった。次年度は、実験実施にかかる使用料、謝金等と成果発表のための論文投稿関連に予算を執行する。
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