研究課題/領域番号 |
20K11155
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
高橋 真 広島大学, 医系科学研究科(保), 教授 (50435690)
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研究分担者 |
梁 楠 京都大学, 医学研究科, 准教授 (70512515)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 歩行 / Light touch / 身体重心 / 歩幅 |
研究実績の概要 |
近年,歩行中に指先で軽く固定点に触れる,あるいは手で紐の先の重りを引きずるなど手指に体性感覚情報を付加し,動的安定化を図る試みがなされている。しかしながら,指先に体性感覚情報を付加することで動的安定性が向上するかは未だ一致した見解が得られていない。 そこで,本研究は三次元動作解析装置および表面筋電計を用いて,直進歩行や,歩き始め,方向転換などの様々な歩行状況下で,単脚支持期の身体重心と支持基底面辺縁の距離,遊脚中期の身体重心と足隔の一歩毎の関係などの指標から,指先に体性感覚情報を付加した際の歩行中の動的安定性に及ぼす効果を検証する。 本年度はトレッドミル上での歩行中に両示指で固定点に軽く触れた状況(Light touch:LT)での動的安定性を検討した。被検者はトレッドミル上で,時速1.5km/h(低速条件)および4km/h(快適条件)で,指先で軽く固定点に触れる(LT条件)および触れない(NT条件)で歩行した。カメラ6台からなる三次元動作解析システム(Vicon MX)を使用し,同定した。身体重心位置と速度および右踵位置の時系列データより150歩行周期を抽出した。1歩行周期の80%(左立脚期,右遊脚期に相当)時点での身体重心位置と速度を説明変数,その後の右踵接地位置を目的変数とし,重回帰分析を行った。その結果,決定係数は快適条件では低速条件と比較し,低値を示したが,LTの有無で明確な差は観察されなかった。決定係数が高いことは,1歩行周期毎に身体重心の位置と速度に応じた歩幅の調整が行われていることを意味するが,今回の実験では若年者を対象にしたため,この調整が十分に行われているため,LTの効果を見いだせなかったと考える。今後,より不安定な歩行状況でのLTの効果を検証する必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
若年者を対象にトレッドミル上での歩行中の身体重心と歩幅の関係性を検討した。実験系は本年度で完成したため,今後は通常方向だけでなく,視覚の有無や二重課題など様々な歩行条件で検証を進めていく予定で,3年間の研究計画はおおむね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
今年度に確立した実験系を用いて,通常歩行に加え,様々な歩行条件下での身体重心と歩幅の関係性を検討するとともに,表面筋電図のデータより筋内・筋間コヒーレンスを検討し,大脳皮質運動野の関与についても研究を進めていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額は少額であり,翌年度助成金と合わせて使用する予定である。
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