研究課題/領域番号 |
20K11157
|
研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
木山 良二 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 准教授 (60315413)
|
研究分担者 |
川田 将之 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 助教 (30783477)
牧迫 飛雄馬 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (70510303)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 歩行練習 / ウェアラブルセンサー / フィードバック |
研究実績の概要 |
臨床で簡便に用いることができる歩行のフィードバックシステムの臨床応用を目的に,機器の利便性を高める改修や,高齢者や脳卒中片麻痺患者の歩容の分析,ウェアラブルセンサーにより取得可能な歩行指標の検討を行った。これらの結果をまとめ学術集会で報告した。 これまで用いていたMatlabをベースとしたフィードバックシステムでは,歩行の変化を捉えてからフィードバックするまでにタイムラグがあり,適切なタイミングでフィードバックを行うことが困難であったが,C言語を用いた改修により,フィードバックまでのタイムラグを短縮することができた。この改修により,適切なタイミングのフィードバックで歩容の変化を誘導可能となった。 健常高齢者の歩容に関する検討では,歩行速度の影響を除外しても,加齢に伴って遊脚相の膝関節屈曲角度が低下することが示され,トウクリアランスの低下が示唆された。また,遊脚相の膝関節屈曲には,前遊脚期の下肢伸展角度が強く影響することが示された。したがって,高齢者に対する歩行介入では,特に下肢伸展角度に着目した介入の重要性が示唆された。この分析の一部は第57回日本リハビリテーション医学会学術集会で歩行した。 脳卒中片麻痺患者を対象とした分析でも,健常高齢者と同様に下肢伸展角度が遊脚相の膝関節の運動に影響することが示され,下肢伸展角度の重要性が示された。また,脳卒中片麻痺患者では,下肢伸展角度に影響する要因としてFunctional Balance Scaleで評価した立位バランス能力の影響が大きいこと,麻痺側下肢の麻痺重症度や筋力の影響は小さいことが示された。したがって,脳卒中患者を対象にフィードバックを用いた歩行介入を行う際には,立位バランス能力を指標として適応を検討する必要が示唆された。この検討の一部は,第18回日本神経理学療法学会学術大会で報告した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
歩容のフィードバックを行うに当たり,データ処理の遅延のために適切なタイミングでフィードバックすることが困難なことが明らかとなった。そのため,プログラムを専門とする業者に改修を依頼したため時間を要した。 また,健常者を対象に予備実験を行う予定であったが,新型コロナウイルス感染症のために実験を行えない期間があり,データの蓄積に若干の遅延が生じた。
|
今後の研究の推進方策 |
健常者を対象とした,予備実験を継続する予定である。その結果を踏まえ,協力病院にて,症例を対象とした研究を実施する予定である。 また,これまでに蓄積した健常高齢者,脳卒中片麻痺者に関するデータを論文として投稿する予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
研究結果をまとめた論文を投稿中であったが,期限内に採択されなかったため掲載料として執行することができずに次年度使用額が生じた。論文は次年度に採択させる予定であるため,掲載料として執行予定である。
|