研究課題/領域番号 |
20K11158
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
芦刈 明日香 琉球大学, 病院, 助教 (80768599)
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研究分担者 |
宮里 実 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70301398)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 女性骨盤底機能障害 / 遺伝子多型 / 疾患レジストリ / 骨盤臓器脱 / 尿失禁 / 過活動膀胱 |
研究実績の概要 |
本研究は、腹圧性尿失禁や骨盤臓器脱(Pelvic Organ Prolapse:POP)、過活動膀胱といった女性骨盤底機能障害という中高年女性に潜在的に多く存在しQOLを著明に損なう疾患を対象としている。これらの疾患の発症予防や発症後の難治性症状に対して基礎的、臨床的側面から網羅的に解析しその疾患特性を明らかにし、そのデータをいかしアプローチするものである。また、発症後の病態を解明し、新たな創薬や治療方法を探索することも平行して行い、女性骨盤底機能障害に対する予防から治療まで個別治療ストラテジーを構築する事が目的である。 今回初年度は、女性骨盤臓器脱患者のweb登録を用いたレジストリの構築を行った。2020年度末現在、195人のPOP患者と119人の対照症例(非POP症例)を集積した。症例ごとに身体情報や発症リスクに関与する過去の出産詳細情報・既往歴・生活歴、POPの家族歴の有無などをデータベースに登録した。そのデータベースからPOP群と非POP群の特性の違いを検討していく予定である。また、POP症例においてPOP発症リスクに関与する可能性のあるゲノム解析を行い、レジストリ登録と共に症例を蓄積中である。ゲノム解析においてはPOP患者80例のDNA抽出を行い解析している。次年度以降、目標症例数(合計500例)に達し次第、POP発症高リスクを見出すための解析を行う予定である。また、排尿障害を有する患者の排尿時姿勢との関連を検討しリハビリテーションに活用するため、座圧分布計測を用いた座位バランスの測定とCTによる腸腰筋筋肉量測定を用いた検討も臨床において症例を蓄積している。このように、女性骨盤底機能障害患者のデータベース構築による発症高リスク患者の同定法の検討とともに、基礎的・臨床的な治療法についても平行して行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
症例レジストリの構築に時間を要してしまったため。
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今後の研究の推進方策 |
今後更なる症例蓄積・解析と並行し、骨盤底機能障害に対する疾患モデルラットを使用した動物実験により、創薬や骨盤底結合織修復治療に関して以下のように解明を進める。 1. 腹圧性尿失禁モデルラットによる尿道機能評価とともに、尿道機能改善をもたらす薬剤の探索、病理学的評価 2. 1と同じモデルラットを用いた低出力体外衝撃波照射による骨盤底組織の機能的・病理学的評価
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度、Covid-19流行のため発表参加予定であった学会に関する旅費が無くなった事、また疾患レジストリ構築に労力を要し基礎実験(動物実験)が予定通り進まず、その費用が残った。よって次年度使用額については、2020年度にできなかった動物実験で使用する。
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