研究課題/領域番号 |
20K11160
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
上田 直久 横浜市立大学, 附属市民総合医療センター, 准教授 (00305442)
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研究分担者 |
岸田 日帯 横浜市立大学, 附属市民総合医療センター, 講師 (20405004)
田中 章景 横浜市立大学, 医学研究科, 教授 (30378012)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | パーキンソン病 / バーチャルリアリティー / リハビリテーション / 上肢巧緻運動障害 |
研究実績の概要 |
パーキンソン病(PD)のリハビリテーションには一般的に確立したプロトコールが存在しない.これは,PDでは振戦,筋強剛,動作緩慢,姿勢反射障害など,様々な運動障害を認めるために一定した方法を確立することが困難なためである.一方,健常者,スポーツマンに対する筋力トレーニング,脳卒中患者などにおけるリハビリテーションでは,近年Virtual Reality(VR)技術を用いた運動訓練の報告が増えており,効果が示されている.PDにおけるVRリハビリテーションは少数報告されているが,歩行バランス訓練がほとんどであり,PDで障害を受けやすい巧緻運動を含め,幅広い運動障害に対応できていない.本研究では,PDにおける上肢巧緻運動障害に対するVRリハビリテーションの効果を明らかにする.また,一つの運動に対するVRリハビリテーションの効果が他の運動の改善にも波及する運動学習転移効果についても検討する.さらに神経機能画像も併せて検討し,VRリハビリテーション効果発現のメカニズムについての解剖学的背景を解析する. 令和2年の目標は,当初は以下であった. 1.PD患者をリクルートする.各参加者のプロフィールなどの基本データを収集する.参加者はVRリハビリテーションによる運動改善度,運動学習転移度を評価する. 2.神経専門医がPD患者の症状をMDS-UPDRSに従って定量化する.PDの運動障害度とVRリハビリテーション効果との関連性を明らかにする. 3.VRリハビリテーション前のMRIにおけるvoxel based morphometryや,リハビリテーション前後の脳血流シンチでの血流分布変化を測定する.Experiment 1で得られる運動改善度やExperiment 2で得られる運動学習転移度との相関を検討する事により,VRリハビリテーション効果やその運動転移効果の解剖学的関連部位を明らかにする.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
最も大きい理由は,新型コロナウイルス感染流行のため,患者が病院受診を控えて症例を集められなかった点と,VR機器の購入の検討すらできない(業者との面談が禁止された)点である.医療者に対するワクチン接種が終了後,徐々に予定を遂行する予定である.
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今後の研究の推進方策 |
1.PD患者50例を目標に被検者をリクルートする.各参加者のプロフィール(年齢,性,罹病期間,使用薬剤)などの基本データを収集する.参加者はVRリハビリテーションによる運動改善度,運動学習転移度を評価する. 2.神経専門医がPD患者の振戦,運動緩慢,筋強剛,歩行障害などの症状をMDS-UPDRS(Goetz CG et al. Mov Diord 2018)に従って定量化する.VRリハビリテーションによる運動改善度との相関を検討する事により,PDの運動障害度とVRリハビリテーション効果との関連性を明らかにする. 3.VRリハビリテーション前のMRIにおけるvoxel based morphometryや,リハビリテーション前後の脳血流シンチでの血流分布変化を測定する.Experiment 1で得られる運動改善度やExperiment 2で得られる運動学習転移度との相関を検討する事により,VRリハビリテーション効果やその運動転移効果の解剖学的関連部位を明らかにする.
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染流行のため,予定としていたVR機器やパーソナルコンピューターの購入の検討すら出来なかったため.今年度中にVR機器の購入,データ管理及びデータ分析用のパーソナルコンピューターを購入する計画である.
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