研究課題/領域番号 |
20K11168
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
佐野 肇 北里大学, 医療衛生学部, 教授 (80205997)
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研究分担者 |
古木 省吾 北里大学, 医学部, 助教 (30748679) [辞退]
原 由紀 北里大学, 医療衛生学部, 教授 (50276185)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 補聴器販売店 / 補聴器適合検査 / 実耳測定 / 補聴器フィッティング / 補聴器特性測定 |
研究実績の概要 |
2020年11月から2021年2月に日本で補聴器を販売している店舗(4502店舗)に対して、郵送法によるアンケート調査を実施した。アンケート調査の主要項目は「店舗の概要」「スタッフの構成」「店舗の設備」「補聴器フィッティングの方法」の4項目である。アンケート調査結果の概要は以下の通り。 得られた回答は1032件で回答率は22.9%であった。そのうち34%が補聴器専門店、兼業店が66%であった。年間販売台数別では100台未満が62%、100台以上が36%であった。認定補聴器技能者が1人以上在籍している店舗は63.4%であったが、言語聴覚士が1人以上在籍している店舗は5.6%であった。店舗の設備としては、PCによる接続調整システムやヘッドホンを用いる聴力測定装置は97%以上の店舗が有していた。一方、補聴器特性測定装置は57%、実耳測定機器は45.5%、スピーカによる聴力測定装置は65%の店舗が有しており、3つの装置のいずれも有していない店舗は17.6%であった。初期設定前の聴力測定はほとんどの店舗で実施しており、初期設定方法についてはメーカー独自の方法を用いているという回答が多く見られた(80%、830店舗)。初期設定後に補聴器特性測定を行っている店舗は全体の約51%であった。補聴器の装用効果の評価に、音場での語音検査を実施している店舗は70%で、音場での閾値測定は68.3%、実耳測定は約27%の店舗で実施されていた。補聴器の特性に関する客観的評価(特性測定、実耳測定、音場閾値検査)が全く実施されていない店舗が約14%に認められた。 調査の結果をまとめ論文に投稿し掲載された(Auris Nasus Larynx 50:841-847、2023 doi: 10.1016/j.anl.2022.11.009)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
一般の補聴器販売店において各難聴者のそれぞれの耳に対して適正な補聴器増幅特性が実現できる実践的方法を構築することを目標に、補聴器特性測定装置による測定値から各難聴者の実耳での出力値を可能な限り正確に推定できるようにする方法を構築することでそれを達成する計画でいたが、補聴器特性測定装置を保有している割合が予想していたよりもかなり低かったことより研究計画の再検討が必要になった。2023年度はPC上のフィッティングソフトウエアで推定される実耳挿入利得と音響利得、実耳挿入利得との関係を検討する計画を立案し倫理委員会に提出した。
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今後の研究の推進方策 |
日本の補聴器販売店の現状調査の結果に基づいて、より適切な補聴器供給体制を構築することを目標としては下記の3点について臨床研究を開始する。 1)補聴器フィッティング用ソフトで示される利得の推定値と特性測定装置で測定された音響利得との関係を求める。 2)音響利得から実耳挿入利得を推定する方法を導く。 3)ソフトで示される推定値から実耳挿入利得が推定可能かを検討する。 以上の検討に基づいて一般の補聴器販売店において各難聴者のそれぞれの耳に対して適正な補聴器増幅特性を実現できる方法を構築する。
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次年度使用額が生じた理由 |
計画していた臨床研究の開始が遅延し2024年度より開始することになったため期間を延長した。臨床研究に必要な消耗品および研究発表に関わる費用に使用する予定である。
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