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2020 年度 実施状況報告書

脳卒中片麻痺者における体幹ベルト付下肢装具歩行の機能特性の解明

研究課題

研究課題/領域番号 20K11171
研究機関新潟医療福祉大学

研究代表者

相馬 俊雄  新潟医療福祉大学, リハビリテーション学部, 教授 (40339974)

研究分担者 大山 峰生  新潟医療福祉大学, リハビリテーション学部, 教授 (10367427)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード下肢装具 / 筋電図 / 歩行 / 脳卒中
研究実績の概要

(社)日本理学療法士協会が報告した脳卒中診療ガイドライン(2011年)では,装具療法についてエビデンスの高い研究が多数報告されている.その中で,新しい装具である体幹ベルト付下肢装具(CVAid)は,高い治療効果(推奨グレードA,エビデンスレベル2)があると紹介されている.先行研究では,脳卒中片麻痺者を対象にCVAid装着歩行時のエネルギー消費量の計測を行っているが,装具の機能や特性については言及していない.このようにCVAidに関する先行研究が希少な中で,ガイドラインでは,エビデンスが高く紹介されているのが実情である.CVAidは,脳卒中片麻痺者の歩行速度を向上させるために開発された装具である.CVAidの特徴は,弾性の体幹ベルトとストラップで下肢を吊り上げており,ベルトの弾性を利用して,麻痺側下肢の振り出しを補助している.一般的に脳卒中片麻痺者が使用する短下肢装具(AFO)は,プラスチック製AFOが利用されている.プラスチック製AFOは,歩行時に亢進する麻痺側下肢の筋緊張(痙性)に対して,足関節が底背屈0度に固定されるため,立脚相の膝折れ防止には役立っているが,振り出し時に足趾が床面に接触してしまい転倒のリスクを伴ってしまう.しかし,CVAidは,立脚相における体重の支持機能だけでなく,弾性ベルトを利用した遊脚相の振り出しにも効果を発揮できる画期的な装具である.そこで,CVAidの立脚相と遊脚相の機能を力学的手法で明らかにすることができれば,今後,CVAidの原理を応用した様々な装具が開発され,脳卒中片麻痺者の歩行能力向上に寄与できると考えている.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

初年度は,健常成人(20名)を対象にして三次元動作解析装置(VICON Nexus:本学所有)と無線筋電図装置(今回申請)を使用して,CVAidを装着した歩行時における下肢の筋活動を筋電図学的手法で明らかにすることである.CVAidは,体幹ベルトとストラップの張力の大きさで,歩行時の遊脚相の振り出しの速度が変化する.つまり,体幹ベルトの張力の設定が,CVAidの機能発揮に重要なポイントになる.そのため,CVAid装着時に体幹ベルトの張力を各被験者で統一しなければならない.本研究を実施するために,はじめに体幹ベルトおよび下肢のストラップの弾性張力を計測するテンションメーターの製作を行った(製作済み).
今年度は,脳卒中片麻痺者を対象にして三次元動作解析装置と無線筋電図装置(今回申請)を使用して,CVAidを装着した歩行時における麻痺側下肢の筋活動を筋電図学的手法で明らかにすることである.特に脳卒中片麻痺者では,麻痺の程度により歩行能力が異なるため,体幹ベルトの張力設定を変化させながら,最適な張力値の模索を行う.無線筋電図は,装具を装着する麻痺側下肢に装着し,遊脚相の下肢の振り出し時の筋活動を計測する.これにより,力学的側面からCVAidの遊脚相の下肢の振り出しの制御機能について明らかにすることができると考えている.

今後の研究の推進方策

今年度は,健常成人および脳卒中片麻痺者に対して筋電図装置(今回申請)を使用して,CVAidを装着した歩行時における下肢筋の筋活動を筋電図学的手法で明らかにする予定である.健常成人に関しては,すでに15名の計測と解析が終了しており,さらに5名程度の追加を行う予定である.脳卒中片麻痺者に関しては,すでに対象者の選定が進んでおり,準備は整っている.これまでに我々は,歩行中の下肢の筋電図解析を行ってきた(若手研究B:2005-2007年:課題番号17700462)(相馬:日本義肢装具学会誌:2006).健常者の歩行の遊脚相では,下肢を振り子のように振り出すため,下肢の筋活動はみられない.しかし,脳卒中片麻痺者は,麻痺の重症度により麻痺側下肢の筋緊張が変化する.
特に筋緊張が亢進している場合は,大腿四頭筋,下腿三頭筋などの抗重力筋の筋活動が増加し,振り出しが困難となる.そこでCVAidを装着することで振り出しが補助されるため,大腿四頭筋,前脛骨筋などの筋活動が減少(抑制)されると考えられる.この結果からCVAidの装着が,麻痺側下肢筋の筋活動の減少(抑制)につながり,脳卒中片麻痺者の歩行能力を向上させると予想される.

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2021 2020

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] 脳卒中片麻痺者への体幹ベルト付下肢装具歩行の有効性2021

    • 著者名/発表者名
      相馬俊雄
    • 雑誌名

      地域ケアリング

      巻: 23(2) ページ: 52-54

  • [雑誌論文] スクワット動作における足部荷重位置の違いが下肢関節モーメントおよび下肢筋活動量に及ぼす影響2021

    • 著者名/発表者名
      渡部朱織, 相馬俊雄
    • 雑誌名

      石川県理学療法学雑誌

      巻: 20(1) ページ: 9-12

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 脳卒中片麻痺者に対する体幹ベルト付下肢装具歩行の臨床応用2020

    • 著者名/発表者名
      相馬俊雄
    • 雑誌名

      BIO Clinica

      巻: 35(14) ページ: 1334-1336

  • [雑誌論文] 下腿義足ソケットの後壁面高さがソケット内接触圧力と歩容に与える効果2020

    • 著者名/発表者名
      前田雄, 林豊彦, 須田裕紀, 高橋素彦, 郷貴博, 東江由起夫, 相馬俊雄
    • 雑誌名

      バイオメカニズム学会誌

      巻: 44(4) ページ: 242-251

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 脳卒中片麻痺者における体幹ベルト付下肢装具歩行の身体動揺解析2020

    • 著者名/発表者名
      相馬俊雄,丹保信人,西片寿仁
    • 学会等名
      第36回日本義肢装具学会学術大会
  • [学会発表] 脳卒中片麻痺者における体幹ベルト付下肢装具歩行が身体重心に及ぼす影響2020

    • 著者名/発表者名
      相馬俊雄,丹保信人,西片寿仁,内田貴洋,布施優一,伊藤秀敏,渡部朱織,神田基生,神戸晃男,松下功
    • 学会等名
      第47回日本臨床バイオメカニクス学会
  • [学会発表] 脳卒中片麻痺者における体幹ベルト付下肢装具歩行の身体動揺解析2020

    • 著者名/発表者名
      相馬俊雄,丹保信人,西片寿仁,内田貴洋,布施優一,伊藤秀敏,渡部朱織,神田基生,神戸晃男,松下功
    • 学会等名
      第20回新潟医療福祉学会学術集会

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公開日: 2021-12-27  

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