研究課題/領域番号 |
20K11174
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研究機関 | 大阪医科薬科大学 |
研究代表者 |
仲野 春樹 大阪医科薬科大学, 医学部, 講師 (10444027)
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研究分担者 |
佐浦 隆一 大阪医科薬科大学, 医学部, 教授 (10252769)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 顔面神経麻痺 / リハビリテーション治療 / 電気生理検査 |
研究実績の概要 |
病的共同運動および顔面拘縮は、末梢性顔面神経麻痺後に起こる苦痛な後遺症である。この後遺症の一つの原因は、顔面神経運動ニューロンの興奮性が増大することが原因であると考えられている。そこで、リハビリテーション治療が顔面神経の興奮性に与える効果を電気生理学的に調べることが本研究の目的である。 これまで、顔面神経麻痺の興奮性の評価法について、① 瞬目反射の2重刺激法による評価、②表面筋電図を用いた閉口時の口輪筋の筋活動の患健側比、いわゆるContracture index ③ 表面筋電図における強い随意収縮を行った後の運動単位電位が消失するまでの時間、の3つの評価法を検討してきた。この3つの評価法を検討したところ、②のContracture indexが再現性が高く有用であることが示唆された。 また、顔面神経麻痺患者の瞬目反射において、健側で記録されたR2電位の面積は、患側刺激(対側)のほうが、健側刺激(同側)よりも大きい傾向があるとの報告がある。この報告では、この結果は顔面神経麻痺の興奮性を示唆されるとしており、この方法が有用であるかを検討中である。 今後、これらの評価法で測定した顔面神経の興奮性が、リハビリテーション治療を行った後に、抑制されていくかを検討していく予定である。 さらに、瞬目反射の解析で、R1電位の潜時が発症6ヵ月から8ヵ月に大きく変動し、それ以降はあまり変わらない傾向があることが認められた。そこで、このR1電位の潜時と後遺症との経時的な関係も調べていく予定である。 なお、こうした電気生理学的な方法の検討の一部を、日本顔面神経学会で発表し、続いて学会機関誌のFacial Nerve Research Japanに投稿し受理された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年にひきつづき新型コロナ感染症の流行のために、外来でのリハビリテーション治療が休止されていたため、リハビリテーション治療が十分に実施できない状況であった。そのため、通常群における患者への自主訓練は、再開して実施しているが、リハビリ強化群に行う予定であった集団リハビリテーション治療が行えていなかった。そのため、研究に遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
今後もリハビリ強化群のプロトコールが実施できない状況が続いた場合も想定される。これまでの、電気生理学的検査の結果をもとに、顔面神経麻痺の興奮性に対する病態を調べていく研究も、並行して行っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年にひきつづき新型コロナ感染症の流行のために、外来でのリハビリテーション治療が休止されていたため、リハビリテーション治療が十分に実施できない状況であった。そのため、電極などの消耗品が予定より消費されず、次年度使用額が生じた。次年度は成果発表を行う予定であり、そのために必要な費用に研究費を使用する計画である。
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