研究課題
病的共同運動(以下、共同運動)および顔面拘縮は、顔面神経運動ニューロンの興奮性が増大することが原因の一つと考えられている。そこで、リハビリテーション治療が顔面神経の興奮性に与える効果を電気生理学的に調べることが本研究の目的である。しかし、研究期間の新型コロナ感染症の流行のために、外来でのリハビリテーション治療が休止されたため、3年前から計画を修正し、本研究の前提となる後遺症、特に共同運動に対する電気生理学的評価法の確立、病態の解明、予後予測に重点を置いて進めた。まず、顔面神経麻痺の興奮性の評価法を確立する研究を行った。評価法として表面筋電図を用いた閉口安静時の口輪筋の筋活動の患健側比、いわゆるContracture index を検討した。Contracture index については、多くの共同運動を有する患者にContracture indexが高い傾向が認められ、興奮性の増加が示唆された。また、病態の解明のために共同運動の出現時期に注目した研究を行った。共同運動が3か月よりも早く出現する症例は顔面神経の興奮性の増加が関与していると考えられている。そこで、顔面神経麻痺の出現時期について調べたところ3か月未満に出現した例が約14%認められた。こうした例が一定数存在することで、共同運動の原因に顔面神経麻痺の興奮性が関与している可能性が示唆された。本研究の結果は、日本臨床神経生理学会で発表した。また、後遺症の一つである共同運動の予後予測についても検討を行ってきた。正中法Electroneurography (ENoG)の検査で、ENoG値で45% 以下であれば、共同運動が起こる可能性が、感度100%、特異度95%で予想できることが明らかとなった。本研究は、英文雑誌 Auris Nasus Larynxに受理され、印刷版に先立ってonlineで公表された。
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Auris Nasus Larynx.
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