研究課題
統合失調症等において、社会機能の低下には、認知機能障害が強く影響することが明らかになっており、その治療法として、認知リハビリテーションの有効性が明らかにされている。社会機能の向上には、介在因子として、内発的動機づけの重要性が指摘されており、これを考慮した認知リハビリテーションの最適化が注目されている。内発的動機づけとは、報酬や罰によって形成される外発的動機づけに対して、取り組んでいる課題や活動そのものに対する興味や喜びといった動機づけを指す。一方、認知リハビリテーションの効果は、認知機能障害の重症度で単純に予想できず、どのような患者に有効であるのか、どのような特徴が認知リハビリテーションの効果に関与しているかは、不明なままである。特に効果を予測する指標については、Vitaら(2021)がメタ解析を行い、教育歴、病前IQ、精神症状が関連因子であることは示されているが、臨床応用可能な客観的な指標については、未だ十分確立できていない。そこで、本研究では、研究代表者の先行研究で得られた 統合失調症の内発的動機づけに関わる 画像知見に着目し、実臨床において簡便に使用可能な認知リハビリテーションの効果予測法を開発することを目的とした。昨年度、解析期間の短縮や、実臨床への応用にむけた検証の簡便性を考慮して、先行研究で得られた内発的動機づけと密接な複数の脳構造的、機能的特徴の中から、脳構造的特徴を主としたターゲットの絞りこみを行った。今年度は、これら特徴的な2つの皮質-皮質下間結合に着目し、認知リハビリテーション前後の画像データ、心理評価尺度のデータを用いて、先行研究同様の解析を少数例にて実施した。リハビリ前後において、先行研究同様の解析が可能であるとともに、その変化を捉えられることを確認した。次年度は、当初目標数のデータにて、パイロット解析を元に、本格的な解析を開始する。
3: やや遅れている
コロナの影響で、臨床研究実施の困難期間等があり、当初予定よりも遅れている。少数例でのパイロット解析を実施し検証を終えたため、次年度は、当初計画にそった規模にて、本格的な解析に着手する。
本研究では、先行研究で得られた内発的動機づけに関わる 画像知見に着目し、統合失調症における認知リハビリテーションの効果予測法を開発することを目的としている。今後においてもコロナ禍における影響を考慮しつつ、今年度得られたパイロット解析の結果を踏まえ、当初計画に沿った規模で本格的な解析を実施するとともに、学会発表等の成果発表について準備を進める。
コロナの影響で、臨床研究実施の困難期間等があり、当初予定よりも遅れている。コロナの状況も考慮しつつ、今年度のパイロット解析結果を踏まえ、当初計画に沿った本格的な解析並びに成果のとりまとめにむけ、使用計画を最適化し、進めていく。
すべて 2022
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)
Frontier in Psychology
巻: - ページ: -
10.3389/fpsyg.2022.867468